これが特訓の成果?
「響鬼先輩は反対するかなと思ったんですけど? 雪見がお笑い……人に慣れるための特訓をしてる最中なわけだし」
「私も人の事は言えないからな。好きな奴とは言えないが、心配してくれてる誰かを捜してるわけだし」
響鬼先輩は自身の能力【テレパシー】で、自分を心配してくれている存在を知ったわけで、それが誰なのかを捜してる。気になる人物と言う意味では一緒なのかも。
「まぁ……雪見のために、付き合えと相手を脅しても良かったんだが、コイツにそれは効果がないだろ? 私を呼び出すほどの度胸もあるしな」
「それは止めておいて良かったと思いますよ。無理矢理付き合わせるのはちょっと……」
「雪見がフラれる未来しか見えませんよ」
それは悟と同意見。最悪、雪見が私達と縁を切るぐらいのレベルな気がする。そこは相手が花畑君で良かったと思う。
「そ、そうなのか……人の恋愛を協力するなんて初めてだからな。そもそも、私自体が恋愛経験皆無なわけだし。男といえば、喧嘩を売ってくる相手としか思ってなかったぞ」
響鬼先輩に関しては予想出来た。もしかしたら、告白しようとした相手がいたかもしれないけど、勘違いして倒してるかもしれない……
「それを言うなら、私も誰とも付き合った事はないわね。告白は何度かされた事はあるけど、全部断ったから。好きになれるほどの男はいなかったし」
姿見先輩も高嶺の花みたいな感じで、男子達は告白してきた? 試しに誰かと付き合ってみる……とならないのが、姿見先輩らしいかも。
「叶と井上は……私達と同じかよ」
響鬼先輩の質問に、私と悟が目を反らした事で答えは出ていた。恋愛経験なしの私達が雪見の恋愛相談を受けなければならないわけだ。
「私達の事は今のところ、置いておきましょうよ。まずは雪見が来る前にホワイトボードを片付けてませんか? 最初は雪見の話を聞いてから」
「す、すみません!! 私が頼んだ事なのに、お、遅れちゃっ……ひゃあああ!!」
雪見は部室に入って早々、悲鳴を上げるのも仕方がない。恋愛相談は事実だとしても、こんな大々的な書かれると恥ずかしいでしょ。しかも、雪見が説明する前に、誰が好きな人なのかが筒抜けになってるんだから。
「ご、ごめん。私達も悪気があったわけじゃないから。響鬼先輩と姿見先輩も本気で」
「そ、その写真、後から貰っても良いですか!!」
「「そっち!!」」
花畑君の写真があった事に驚いたの!? これも響鬼先輩や姿見先輩の特訓の成果?