店長の瞳は○○
「私はそれで大丈夫ですよ。能力は【透視】で、目薬を使います。使用後、反動で一時的に目が見えなくなるので……椅子とか借りれたら嬉しいんですが……」
「勿論、椅子は用意するぞ。【透視】とは色々と誘惑のある能力だな」
色々と誘惑って……下着とか見たり、更衣室を覗いたり出来る事でしょ。それ以外に思い付く事なんてある?
「店長の下着がどんなのかを調べたら良いですか? それともへそくりとかエロ本の隠し場所でも」
エロ本の隠し場所を発見するなんて……そういう使い方も確かにあるわ。ただ、店長の性癖を知りたいとは思わないけど……
「流石にここでそんな物は置かさないさ。愛すべきキャラ達がいるからな。俺の下着よりも、紗季達の方がいいぞ」
「別に私は構わないが、それはセクハラになるぞ」
紗季が普通にツッコミを入れてる。店長も堂々と言えるのも凄い度胸だと思うし、悟も店長にパンツを見ると言ってるわけだから、似たようなものなんだけどさ。
「冗談だ。俺を【透視】してくれたら問題ない。もう一人の能力は何だ?」
「私の方は……あまり見せたくないというか」
漫画だとこういう場面の時、変身する時に何か問題が発生するもんなのよね。それが蛍が来るというのだったら……怖すぎる。
「なるほど……なら、その間は客が来ないように店を閉めておこうか」
「……能力を使うための物を持ってきてなくて」
「陣子が使うのはスルメと栄養ドリンクだからね」
悟は余計な事を言わないで。断るために言ってるんだから!!
「栄養ドリンクなら、店に常備している。作業者にとっては必需品だからな」
紗季の家にも常備されてるし、こういう人達は必ず持ってるものなの!? しかも、栄養ドリンクで【変身】するのは二時間なんだけど!!
「陣子も諦めるんだな。能力を使わないと教えて貰えそうにもないんだから」
紗季も他人事のように言ってくるけど、蛍の事は紗季も知ってるでしょ!! とは店長の前だと言えないし……
「はぁ……私の能力はオッサンに【変身】する事です。それ以外は何も……そんなの見ても仕方ないでしょ」
オッサンがオッサンを見て、何が楽しい? 【変身】の能力を伝えるだけでいいでしょ。
「オッサンなんて関係ない。【変身】は何であれ憧れるものだ。何の問題もないぞ。それを見せてくれ」
「……分かりました。やればいいんでしょ」
店長も諦めるつもりはないらしい。こうなったら、【変身】するからには異世界研究所の事をちゃんと聞いてやるんだから。
店長は栄養ドリンクを持ってきて、それを私は躊躇いもなく、一気に飲み干した。
「おおっ!! 一瞬で変わった……というか、その姿を何処かで見たような」
何処かで見た!? 商店街で蛍を助けた時とかじゃないよね? 私みたいなオッサンは何処にいそうなものだけど……
店長は私の姿をよく見るためなのか、サングラスを外した。
「店長の目!?」
紗季だけじゃなく、私や悟も驚いた。
店長の左目……瞳の色が黄色だったから……