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番外編 花畑薫のロシアン地獄

「ややっ!! ロシアン地獄に使用する叫喚地獄(ドリンク)が運ばれてきましたよ」


 引き続き、猪鬼が司会をするみたいで、叫喚地獄が来た事を大袈裟にアピールしてる。


「おい……俺が頼んだのは」


「箱があるだけで、中身が見えない? これは私達が有利にならないように配慮した形です。そうじゃないと、亡者様の敗北は必至。それは面白くないでしょ」


 後輩に中身が確認出来ないよう、叫喚地獄は六つの箱に隠されている。それを俺と後輩が交互に選んでいく形なんだろう。だがしかし、俺が頼んだのは四つ……叫喚地獄のメニューにあるのは五つ。二つも増えてるし、その恐怖に後輩の体が震えてるだが!!


「四つ分の支払いで良いらしいわ。私としても、雪見のためにも長く続けて欲しいから」


 叫喚地獄を運んできたのは地獄卒(姿見先輩)が教えてくれた。()(この)んで、叫喚地獄を増やす奴なんていないぞ。タダでも嫌なんだが……


「叫喚地獄は本来五つなんだけど、勝負となると奇数は駄目でしょ。だから、閻魔様にメニューを追加して貰う事にしたの。内容的に『美味しい』『飲めなくもない』『普通に不味い』『激不味』『叫喚』『未知』の六つ。人の味覚によっては違うかもしれないけど、そこは許してね」


 飲めそうのは三つ……『美味しい』『飲めなくはない』『普通に不味い』は何とかなるだろう。『激不味』と『叫喚』がヤバくて、閻魔様が作る『未知』なんて本当にどうなんだ?


「二人が飲んだ時のリアクションを見て、このドリンクを飲んでみたいと思ったら、注文して欲しいな。勿論、閻魔様が作る地獄もOKだからね」


 猪鬼はちゃっかり宣伝してるけど、素人である俺達にリアクションを求められても困るぞ。


「笑わせないと駄目だ笑わせないと駄目だ笑わせないと駄目だ……」


 後輩も念仏のようにブツブツと『笑わせないと駄目だ』と小さな声で言ってるけど、変なスイッチ入ってないか? 俺的には笑いなんて全然求めてないんだが……


「先攻は亡者様。二人が選んだ後、一緒に飲んでもらうからね。亡者様はどれを選ぶんでしょうか」


 先攻は俺……といっても、箱の形や色は全て一緒。中身が見えない以上、先攻後攻と変わらない。前後に右、中、左の中から選ぶ事になるんだが……


「前の真ん中だ」


「う、後ろの真ん中でお願いします」


 俺が前の中。後輩が後の中をチョイス。後輩は祈るように、両手を握っている。


「亡者様は青、弱鬼は肌色です!! この中に美味しい物はあるのでしょうか? 実飲のお時間ですよ」


 量はコップ一杯分。メニューブックにはジョッキの大きさだったけど、勝負という事もあって、減らしてくれた事に感謝だ。


 青と肌色のドリンクなんて、明らかにハズレだろ。後輩も落胆してるように見えるからな。これが『普通に不味い』か『飲めなくもない』のどちらかだと願うしかない。

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