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裸は許可出来ません

「流石に年頃の娘を裸の状態で検査するのは……病院で使われる検査着はありませんか?」


 お母さんは私が裸になるのを反対してくれた。小鳥遊先生だけじゃなく、男の助手達もいるから当然だよね。


「裸になるのはオッサンに【変身】してからなので、そこは安心してください」


 私としては、オッサンになった自分の裸を見たくないんだけど……格好良いオッサンなわけでもないし、どう考えても目に毒でしょ。


「確かに……それなら問題ないかもですね。もしも、異世界のオッサンに【変身】していれば……形が違うかもしれませんし」


 形が違うって……何のよ!! 異世界とか転生者の話を信じるのは良いんだけど、そこは親として断固反対するべきでしょ。


「母さん!! 小鳥遊先生……【変身】が解ける時の事も考えると、陣子を裸の状態にしたくありません。強制ではないんですよね?」


「勿論です。両親の許可がない以上、強要はしません。裸が無理なら、そのままで行きましょうか。検査着はありますが、着替える必要はないです」


 お父さんが止めてくれた事にホッとした。というか、両親よりも、私の許可を優先するべきだと思うけど。


「【変身】後には服装も変わってましたよね?」


「そうだけど……裸よりも、そっちの方が大事なんじゃ……」


 オッサンに【変身】する時、服装が変わる時がある。それも毎回同じ服じゃないし、ジャージの時は変化しなかったり……


「今着てるのはジャージだから、服装は変わらないんだった!! けど、裸になるのは嫌ですよ。検査着も……男女兼用だったら変わらないかも」


 男女兼用が服装の変化をなしにしてるのは、私の想像でしかないんだけど。


「なるほど……今回はジャージ姿のままで構いません。栄養ドリンクもこちらで用意してます。これを持って、あの小部屋に入ってください。私達はカメラから、そちらの映像を見ますから」


「分かりました……って、結構狭いんだけど!!」


 小部屋というより、トイレぐらいの大きさしかない。そこに小型カメラや色んな機器もある。小さな二つのモニターには今の私の姿と、小鳥遊先生やお父さん達が映し出されている。


「それでは【変身】してください。その後、私がOKするまで動かないように」


 私は小鳥遊先生の指示通り、栄養ドリンクを口に入れた。


「ああ……やっぱり、夢じゃないんだな。陣がオッサンになるなんて……」


 私がオッサンに【変身】した事で、お父さんの悲痛な声が聞こえてきた。私よりも悲しんでるような気がするんだけど……


「ジャージ姿のままですね。【変身】した事で、体に違和感はありませんか?」


「それは色々と……」


 筋トレがいつもより回数が増えたり、味覚が少し変わったりしたんだよね。オッサンだから加齢臭とか、男だから……違和感はなかった事で。


「男性と女性の違いますからね。では、次にレントゲンを少し改良した物で、体の内部の方を撮ります……ちょっと待ってください」


「えっ!! 何? 変な物でも映ったとか止めてよ!!」


「すみません……ジャージの上だけでも脱いで貰えませんか? 下が無地のシャツだったなら、尚良いのですが」


 そういえば、レントゲンを撮る時はボタンや金属類、柄物の服、ブラジャーとかも駄目なんだったけ? という事は、普通に失敗しただけ?

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