◯◯の御披露目
「小鳥遊先生が私達の学校に来たのは、その子がいるかもしれないと思ったからなわけ?」
紗季はそう言うけど、私も気になるところ。能力者の研究のためでも、保健医になる必要はないはず。ここの設備の方が断然良いわけだしね他の場所に行くのも、休みの日しか無理になるんじゃないの?
「それは偶然ですよ。赤ん坊の所在は分かってないですし、私以外の研究者達も他の学校や施設に行ってますから。ただ……私達がいる町に派遣された研究員は多いですけどね」
小鳥遊先生が私達の学校に来たのは偶然だとしても、多くの研究員が来てるなら、赤ん坊が落ちてきたのは私達がいる町の可能性もある?
「能力に関しては未知な事が多く、私が話せるのはこれぐらいです。ここからは陣子の体を調べていこうと思うのですが……親御さんも一緒にいても構わないので。その方が安心すると思いますし」
「私達も一緒にいれるなら、ぜひ。それで何か分かれば教えてください」
お父さんは勝手に私の体を調べるのを許可するし!! 学校の能力検査は能力があるかどうか、光が体のどの部位に当たったのかだったけど、今回は本格的に調べるんだよね?
「勿論、陣子さんだけじゃなく、猪狩さんや井上さんも検査させて貰いますし、実験の協力もお願いします。なので、検査はそれぞれ分かれてる形になります」
悟と響鬼先輩の側に研究員が近寄ってきた。
「私は聖剣部の研究員。【テレパシー】の検査と共に協力をお願いします」
「私は魔導部の研究員。【透視】で書物の構造が見れるのか協力をお願いします」
各々が必要としてる能力者の検査を受け持つ事になってるみたい。
「えっ……そこは小鳥遊先生がするんじゃないですか?」
悟が驚くのも無理はないかも。流石に知らない研究員に調べられるのは、私でも抵抗がある。
「大丈夫です。別の部屋に移動しても、ちゃんとこの部屋から監視出来るようになってます。心配なら、有野さんがついて行っても構いません。それぐらいは許可します」
「私にとっては願ってもない事だね。一人だけ別の場所で時間潰すのは嫌だし。陣子には親がついてるわけだからさ」
「紗季が一緒にいてくれるなら……」
まぁ……紗季にとっては聖剣を近くで見れるチャンスでもあるわけだから。流石に触れる事までは無理とは思うけど。
「なら、私は彼女と一緒に行こうかな。聖剣をもう一度見てみたいし」
「私はどっちでもいいけど……アンタも能力者なんだろ? 検査はしなくていいのかよ」
サクラ先生は響鬼先輩と一緒に行く事を提案する。そういえば、私と悟、響鬼先輩の検査はすると言ってたけど、サクラ先生は名前を呼ばれてない。
「私は後で構わないって。それほど必要とされてる能力じゃないみたいだし。小夜先輩もそれでいいでしょ」
「大丈夫です。ですが、ちゃんと猪狩さんの側にいるように。他の場所へ行けば、私も庇いきれないので」
響鬼先輩の検査の途中でサクラ先生が別の場所は移動する事を危惧するのも、サクラ先生の性格を知ってるから。
「はいはい……それじゃ、私達は行くから」
何故か、サクラ先生を先頭に小鳥遊先生の研究室から出ていく。その時にあの運転手も一緒に外へ。悟の目薬や響鬼先輩のスマホが入った袋を持っている。
「さて……陣子さんの検査のため、まずは【変身】をして貰います。そして、裸の状態になってもらっても構いませんか?」
「……えっ!?」
裸!! どうにか見ないように努めてきたのに、ここで御披露目するとか嫌でしかないんだけど!!




