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出発進行


「響鬼先輩や黒さんに見せる前に関門があるなんてね。一番厳しかったのは紗季なんだから。頼んできたのはあっちなのに」


「それだけ漫画は難しいって事だね。表紙は完成したけど、結局は間に合わなかったわけだから」


 土曜日。私と悟はお父さんが出す車に乗り、小鳥遊先生が指定した集合場所に向かってる。今車に乗ってるのは両親、私と悟。紗季の姿がないのは仕方がない。私達が期待に答えられなかった事もあるけど、自業自得でしょ。


「ははっ……井上さんの親御さんは来なくて大丈夫なの? 娘に能力があるなんて不安に思わない?」


 お母さんは紗季の事をよく知ってるから、私達の話が笑い話になってるのが分かってる。


「今日の事は親に伝えてないです。私に能力がある事も知らないから」


 悟が能力者だという事は親にバレてない。家庭の事情は様々だから、それを教える事はないだろうけど。


「そうか……何かあった時には伝えた方がいいと思う。もし、それが出来ないのであれば、私達に相談してもいいから」


 お父さんも深く突っ込まず、フォローを入れるのは流石大人だ。


「響鬼先輩も親は連れて来ないと言ってたしね。サクラ先生も単独で来るだろうし……って、親が来るのは私だけじゃん。なんだか恥ずかしいわ」


「私とお父さんは全員の保護者なわけね。紗季ちゃん以外に友達が増えてて、会えるのは嬉しいけど」


 そう言われると、響鬼先輩を見た時の衝撃はどうなるんだろう……いや、お母さんなら簡単に受け止めるか。早朝に訪ねてきた小鳥遊先生を普通に家の中へ入れるんだから。


 響鬼先輩はというと、小鳥遊先生が車で迎えに行ってみるみたい。そこにサクラ先生も一緒らしいから、どうなってるのか。


「あっ!! 響鬼先輩発見」


 小鳥遊先生達の方が集合場所へ先に来てたらしく、響鬼先輩が車の外で待っていた。


「よっ!! 漫画家の姿はないみたいだな。私の名前は猪狩響鬼。叶の父ちゃん、母ちゃん、今日はよろしくお願いします」


「良い髪の色してるわね。こちらこそ、陣がお世話になってます。今日はよろしくね」


 響鬼先輩も私達に気付いて、挨拶に来た。それをお母さんも難なく返事する。


「それと……叶達には申し訳ないけど、私もそっちの車に乗せて貰えないか? 二人の質問攻めが凄くて、面倒臭いんだよ。余計にうるさくなるのに、能力を使わせそうになるし」


 響鬼先輩が車の外に出てた理由はそれか。確かに小鳥遊先生にサクラ先生が加われば、質問に圧倒させるかも。


「私達は構わないとも。陣と井上さんの席が少し狭くなるだけだからね。と、少し待っていなさい」


 お父さん、お母さんは一旦、車の外に出た。というのも、小鳥遊先生が車の外に出てきて、挨拶をするためだ。それに研究施設の場所を教えるのもあるのかも。


「はぁ……しんどかった。最初から叶の方の車に乗れば良かったわ。サクラがあんな奴なら、漫画家に相手させるのもありだったかも」


 響鬼先輩がサクラと呼ぶのは【ライソ】の名前がサクラで、サクラ先生自身が本名を名乗ってないんだろう。


「まぁ……漫画家が一度も見せに来ないとは予想外だったけどな。出来の良い漫画を見せなくなかったんだろ?」


 紗季がプロ漫画家ともあって、不出来な作品を見せたくないと響鬼先輩は思ってくれたみたいだけど、半分正解で半分外れ。私と悟が考えてた事は内緒にしておこう。

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