因果応報?
「で……用はそれだけか? 漫画家が突拍子もない行動をしたわけじゃないだろ」
響鬼先輩は相談事の手伝いをしたのには裏があると踏んだみたいだ。紗季なら変な事を突然思い付く事はあるんだけど……
「そういえば、響鬼先輩には名乗ってなかった。助手Sとは仮の姿、私の名前は有野紗季です」
「そうか。けど、呼び方は漫画家が良いだろ? その方が覚えやすいしな」
響鬼先輩が紗季を漫画家と呼ぶのは、まだ心を許してないから? 私や悟の時より口調が少しキツイ気がする。花畑君に対する態度とか、雪見の扱いが気にいらなかった?
「隠してる事でもないし……漫画家で構わないけど」
紗季も少し何か感じたのかも。いつもは何も気にせずグイグイ行くところを、その雰囲気に警戒してる。
「あの!! 響鬼先輩に用があるのは、紗季も土曜日の研究施設について行きたいらしくて。それと能力者の【ライソ】にも参加も」
紗季が言うより、私が言った方が安全だと思って、咄嗟に言葉に出してしまった。一応、響鬼先輩は【学遊日誌】のモデルになる事を許してくれてるわけだし、他メンバーからも紗季のグループ参加は承認されるようになってるんだから……
「ああ……そういう事か。なら、私は拒否しようか。漫画に関しては能力のモデルは許可したけど、それとは話は別だな。【ライソ】の会話が常にネタ扱いされるのも嫌だし、私達の相談事もネタにする奴だろ?」
流石に相談事に関しては、紗季も了承を得ないと描かないとは思う。私と蛍の関係は書くつもりはないはず……
「それは本人に許可を取るぞ。常に現実の事をネタにするわけじゃないから」
「最後まで話を聞けよ。雪見や悟は漫画家をグループに入れたいと思ってるんだよな」
それは雪見や悟の心を読んだ? その中に私の名前も入れて欲しいところなんだけど……雪見が私の事を見てるし。
「だから、漫画家が雪見に弟子入りの条件を付けたように、私も与えてやるよ。私が面白いと思う漫画を描いてこい。勿論、そこはちゃんと評価するからな」
なるほど……響鬼先輩は紗季が雪見にやった事の仕返しをするつもりなんだと思う。仲間想いというべきか……
「面白い。そこまで言うなら受けて立つ。私が描くのは四コマ漫画だから三つ、四つ用意するかな」
紗季も響鬼先輩の挑発を受けた……って!! 単行本の表紙、おまけ漫画、それに加えて最新話をある程度まで進めて、黒さんに許可を得ないと駄目なのに、更に増やしてどうすんのよ!!