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紗季の作戦


「おい……何で俺が一緒に三年の教室に行かないと駄目なんだ? 叶達も一緒に行けば、それで十分だろ」


 昼休み。私と紗季、悟は花畑君を捕まえて、響鬼先輩の教室に向かっている。【ライソ】じゃなくて、響鬼先輩本人の前で紗季を紹介した方が良いと判断したから。


「いやいや……私達が会いに行くのは猪狩響鬼だからな」


「……はっ!? あの赤い悪魔にか。お前が何かふざけた事でもしたのかよ。俺なんかで牽制出来る相手じゃないぞ」


 多分、花畑君も噂に踊らされている? もしくは不良界隈での響鬼先輩の渾名なのかな? 私も前までは怖がってたけど……花畑君と似た境遇なだけなんだよね。


「そこは私が上手くやるから。薫は一緒にいてくれるだけで良い」


「くそっ……一体何なんだ」


 紗季が花畑君を連れて行く理由は私や悟も分かってない。響鬼先輩と喧嘩をするわけでもなく、私達と仲が良いと伝えようにも、紗季に止められた。逆に変な事をすれば、紗季が響鬼先輩に嫌われ、能力者の集いの【ライソ】に参加出来なくなるだけなんだけど……


「紗季……変に響鬼先輩を刺激しても良い事ないよ。姿見先輩とか雪見が庇うと思ってるの?」


「悟も心配する必要ないからね。響鬼先輩にとっては良い事だから。薫が響鬼先輩の噂を知ってるみたいに、三年も薫の噂を耳にしてると思うしね」


 そんな事したら、周りの人達は一触即発と勘違いするんじゃないの。響鬼先輩のためじゃなくて、漫画のネタ作りでしょ。


「そろそろ響鬼先輩のクラスだけど、教室にいてくれるかな?」


 響鬼先輩に今から会いに行くとは【ライソ】してない。もしかしたら食堂や別の場所で昼食を食べてるかもしれないんだけど……


「いた……けど、雪見?」


 響鬼先輩は教室にいたけど、一緒にご飯を食べてるのが姿見先輩じゃなくて、雪見だった。しかも、雰囲気からした肩身が狭そう。教室の大半が雪見に注目してる……というのも、一年生が響鬼先輩と一緒にいる事自体が凄いと思ってるのかも。実際は雪見の度胸試しの一つなんだろうけど……


「姿見先輩がいないのは好都合だったのに、雪見がいるのか……顔を知られてるし……薫一人で響鬼先輩は呼んでくれないか? 」


「俺がか!!」


「そのために呼んだというのもある。それだけでいいから。私達は少し距離は取るけどね」


 紗季は花畑君の背中を押して、一人で教室前まで向かわせた。


「ねぇ……花畑君が響鬼先輩を呼ばなくても、私と悟で十分なんだけど」


「まぁまぁ……響鬼先輩の相談事を考えたんだよ。それの協力を先にしておこうかな……って。薫の噂もあるから、響鬼先輩を呼び出す=喧嘩と思わせれるだろ。その時、響鬼先輩を心配する相手を探せるんじゃないか? 教室にいるかは確認出来そうだけど」

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