コントをはじめよう
「雪見は紗季のネタ作りとか度胸を見習いたい感じなの?」
「そ、そうです。いずれかは学園祭でコントとか出来たら良いなぁ……って」
雪見は本気で芸人になりたいのか。紗季を見習いたい=先生達の要注意リストに入れられると思うんだけど……
「漫画のネタとコントのネタは違うと思うけど……紗季にの場合はキャラ重視の話で、勝手に動く感じだからさ」
それは紗季がキャラモデルとなってる私達の事をよく知ってるからで、それを上手く利用してる。紗季は観察力が凄いんだよね。
「キャラ全員にモデルがいるんですよね。その中で叶美(かなこみと蛍子の人と会ってみたいのもあるんです」
叶美と蛍子……字の如く、私と蛍がモデルとなってるキャラだ。蛍子は別として、私のキャラはそこまで人気があるとは思ってなかったけど……
「叶美のモデルとなってるのは陣子だぞ。キャラとしてはツッコミ系なはずだが」
確かに【学遊日誌】紗季と花畑君のキャラを私のキャラがツッコミを入れるのが多いかも。蛍のキャラはツンデレ系だったかな。
「そうなんですか!! コンビになってくれる人を探しているんですが……その相手が見つかるまでの練習相手になって欲しいです。むしろ、相方でもいいです」
私が叶美だと知った時が一番の大声が出たんじゃないか? ピン芸人じゃなくて、コンビが良いのか……じゃなくて!! 漫画のキャラだけで私を選ぶのか!?
「おかしいでしょ。一応、あれは漫画だから。そこまでツッコミが得意じゃないし、お笑いとかをそこまで見た事ないから」
見るのはアニメや漫画、ゲーム……って、最近は能力のせいで色々あって、あまり見れてないな。
「けど、陣子はあれ的にもお笑いに合ってると思うよ。相方は置いといて、練習相手にはなってあげてもいいんじゃない?」
悟が言うあれとは【変身】の事でしょ。オッサンに変身してツッコミを入れるのは笑いが取れるかもしれないけど、【変身】前の姿も分かるわけで……蛍に正体がバレるじゃないの!?
「その……あの力も借りたいから、叶さんが良いです。ネタを聴く相手も井上さんなら」
雪見のあの力とは能力である【凍結】よね。アイスやかき氷を食べたら使えるようになる……あの時は寒いギャグを聞いた時に体が寒くなったような……
「もしかして……全然面白くないネタをすると、私達が寒くなったりするんじゃ……」
「そう……ですね。人によるかもなんですけど……面白いと感じたら、そんな事はないみたいです。後は周囲の空気が悪いと私が感じてしまうと寒くなるわけで……」
紗季に弟子入りしようとするぐらいだから、そこまでネタは面白くないのよね。つまり、【凍結】によって面白いかを判断するって事よね。
「これもあの相談になりますか?」
能力者の集いの相談……そう言われたら、断る事が出来ないじゃないの……