表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

120/245

握手&撮影会

「白先生!!」


 白先生が【妖怪の森】のキャラ達との握手を終えた後、移動するところを、紗季は握手会の列から抜け出し、声を掛けた。花畑君は親子連れの多い中、そのまま握手会の列を進んでいく。


「おっ!! 有野達じゃないか? お前達も【妖怪の森】のファンだったのか!? イベントがあるとすれば、ファンとしては一度は訪れるべきだからな」


 白先生は私達がデートを尾行していたとは一切思ってないみたいで、純粋に【妖怪の森】と遊園地のコラボを見に来たと思ってるぽい。妖怪の握手だけじゃなく、写真撮影もあったみたいで白先生はホクホク顔だ。


 紗季が【妖怪の森】の服を着てるものあるけど、握手会に並んでるのも理由の一つ? こうなると、紗季みたいに、私が抜け出すのは止めた方がいい?


 黒さんの方はデートを邪魔されるんだから、嫌な顔をするはず。紗季の性格を知ってるわけだし、白先生を誘う場面も見られてるわけだから、偶然だとは思ってないでしょ。


「偶然ですね。後羽先生は取材ですか?」


 と、黒さんからは予想外の言葉。紗季が遊園地に遊びに来るような玉じゃないと思ってじゃなくて、『偶然』って言葉にね。それにホッとした顔をしたような……白先生を誘ったは良いけど、緊張が解けてなかった? 


「それもあるんだけど……白先生達に頼みがあるんだ。デートの邪魔をするようで悪いけどさ」


「これはデートじゃないぞ? 銅島さんとは【妖怪の森】好き仲間で、一人では行きづらいらしくてな」


 それは黒さんがジムに通ってるのと一緒でしょ。白先生の【妖怪の森】好きに合わせてるだけで、全然気付いてない。そもそも、黒さんの誘い方も失敗なんじゃ……


「まぁまぁ……後羽先生は私達に用事があるんですよね。そうでないと、声を掛けてくるとは思いませんし」


 そこは黒さんも紗季の事を理解してるみたいだけど……


「おい……先に進まないと後ろの迷惑になる。今更抜けるのもなしだぞ」


 紗季と白先生達の会話を全部聞けず、花畑君に列から抜け出すのも禁じられて、そのまま進む事に。流石に花畑君一人で妖怪達と握手&撮影は恥ずかしいのかもしれないけど、二人も大概だから。


「大きなお兄さんとお姉さんも来てくれたんだね。スタンプラリーも楽しんでるようで何よりだよ」


 ショーのお姉さんが妖怪達の握手前に話し掛けてきた。スタンプラリーの事は、おばけ屋敷で貰ったメカね猿の眼鏡を花畑君がいつの間にか付けていたからかも。紗季達と合流する時には外してたけど。


「……」

「……」



 妖怪達は何も話さない。ショーは声優がアテレコしてるけど、実際の中身はスタントマン。無闇に話す事が出来ないのは子供じゃないんだから分かってる。


 お姉さんは気にしてないみたいだけど、花畑君も無言で妖怪達をジッと見るから、妖怪達の方が震えているから。握手時も花畑君の握力によって、妖怪達は痛みに膝を折る始末。下手したら、後ろの子供達の握手が無理そうだと、五匹いた妖怪達の一匹目で断られる事に……


 花畑君は表情を変えず、素直にお姉さんの指示に従ったけど、その背中は寂しそうだった。勿論、私は五匹とも握手出来たけど。写真撮影は大丈夫だったのが、花畑君の救いなのかも……


 その時、若杉が『それは俺の役目なのに』とこっちを向いて叫んでたのは無視しておこう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ