壮大なネタバレ
「正解。同じ学校の生徒がいるなら、名前は出して欲しくなかったんだけど……君も私の事は内緒にしといてくれないかな?」
思わず名前を出してしまったけど、本来は能力者については内緒にしておくべきだった。姿見先輩も私が能力者だとバラす事も出来るわけだし。
「なるほど……能力者がいるのか。という事は、さっきの奴もだな。勿論、アンタの事は誰にも言わないさ。気持ちは分かるからな。それとこれはデートじゃないぞ」
「彼の母親が能力なので、信用してもいいと思いますよ」
そう言いながらも、私は紗季に花畑君の母親の事を教えてしまった分、少し罪悪感が……
「それと……姿見先輩は白先生を見ました?」
姿見先輩がこの場所にいたのなら、白先生と黒さんを見たはず。けど、それも【透明化】の時間次第。一度解除して、見た物を忘れてるかもしれない。紗季に関しては素顔を知らないし、声も忘れてるから誰だか分からないはず。
「それが目的なの? 見たわね。男の方が叫んでたけど、白先生は冷静に妖怪を探してたから。あれをデート呼べるかどうかは別としてね」
白先生はデートというより、純粋に【妖怪の森】のアトラクションを楽しんでいるだけって事? 黒さんの方が怖がってる分余計にそんな感じになってるのかも。
「私の役目は客に触れるのと一言声を掛けるのだけど、白先生は私の存在に気付いたみたいで、頑張れと言われたから。それと後一人……私の名前を呼んだ人がいたんだけど、能力者である彼女の事を聞いてきたかな」
生徒を声だけで判断出来る白先生は凄いけど、姿見先生が言ってるのは紗季の事でしょ。能力も把握してるし、体が伸びる能力に興味を示すのは紗季と小鳥遊先生ぐらいでしょ。
「それは……後から【ライソ】で教えます。今だと仕事の邪魔になりそうだから」
近くに花畑君もいるんだから、これ以上余計な事は言えない。
「分かった。彼女とは初めて会ったんだけど、グループに入るかは誘っておくわ。怪しまれるかもしれないけどね」
能力者の集いだから、学校以外のメンバーを誘う事も小鳥遊先生は考慮しているはず。けど、流石に花畑君の母親は無理……あの母親から絶対に花畑君に内容を見せる気がする。
「私はそれもありだと思いますよ。それじゃ……」
花畑君は少し距離を取って、私が来るのを待っててくれている。それに後ろから新しい客が来るだろうし。
「ちなみに暗号は『もりがみ』だから。多分、彼女の暗号を見逃す人のが多いし。彼女自身に暗号が貼られてるのよ」
壮大なネタバレを聞かされてしまった。能力者の伸びてくる部分に妖怪が貼られてたって事? それを見つけるのは至難の業だとは思うけど……
花畑君にも聞こえたようで、少し落ち込んでるような感じが……自分で見つけたかったのかもしれない。
「ゴメン……私が先輩に声を掛けたばかりに」
「いや、失敗するよりかは……な。それよりも透明の奴が言ってたのは有野の事だろ? グループというのは……漫画のやつか。それなら、俺は入らないぞ」
花畑君は紗季の漫画に関する物だと勘違いしてくれたみたい。あながち間違いでもないんだけど……