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番外編 花畑薫も勘違いする


「有野もいなくなったのなら、俺達も先に行くぞ。若杉も最初のペアはこれでいいよな」


 俺には遊園地でやる事が山積みなんだ。スタンプラリーの景品がクマガンのぬいぐるみは必ず手に入れないといけない。隠れ潜む妖怪を八体見つけないと駄目なんだ。それだけじゃない。遊園地限定の【妖怪の森】グッズ入手、ショーの観戦、アトラクション等目白押し。時間が全然足りないぐらいだ。若杉が叶を狙ってるのは分かっているのだが……


「勿論!! 十分過ぎる。女の子と一緒に行動出来るだけで……」


 有野達のせいで、若杉の目的が女の子と遊ぶまで退化している……俺は別にそれでも構わないけど。


「井上は若杉に何かされそうなら、有野や叶に連絡しろ。その後、俺が殴り飛ばしてやるから」


「ありがとう。花畑君って実は優しいんだね。紗季が気に入ってるのも分かるかも。時間が来たら、私が【ライソ】で陣子と紗季にコメントするから」


 優しいという言葉は別として、有野のお気に入りになってるのはあまり嬉しくはない。


 井上と若杉はこの場から離れていく。若杉は井上の胸部分を見ながら、お化け屋敷を推す台詞が聴こえてきた。井上は見られてる事に気付いてないようだが、大丈夫か?


「悟と花畑君には感謝してるわ。最初から若杉と行動しなくて済んだわけだし」


 俺が見てるのだから、一緒にいる叶も若杉の行動を見てるだろうな。そんな台詞が出るのも当然なのだが……


「叶は若杉の事が嫌いなのか?」


 叶に率直な感想を聞いてみる。答えは大体予想は出来ている。


「う~ん……嫌いではないかな。遠目で見る分には楽しいかもしれないけど、自分が相手にするとなると面倒ね。若杉に好かれる相手は疲れるんじゃないの?」


「……そうだろうな。簡単に想像出来る」


 叶の言う通りになってるな。本人がそう言うのだから間違いないだろう。


「でしょ。それじゃあ、私達は【妖怪の森】のスタンプラリーを回るんでしょ?」


 しまった!! 紙を持ってるところを見られたか。どう言い訳をすればいい。有野は別の用事があるから、俺が代わりに集める……それは親友である叶に頼むだろ!?


「花畑君のお母さんが好きなんでしょ? お土産代わりにぬいぐるみを手に入れるだよね? 【愚弟】で花畑君のお母さんがウサニンの着ぐるみを持ち帰った話を聞いたんだけど……」


 確かに母さんが【愚弟】に行って、コスプレを交換したわけだが、その場に井上か海野がいたのか!? しかも、叶は母さんが能力持ちと勘違いさせてしまったから、余計な事を言いにくい。


 いや……むしろ、それは利用出来るんじゃないか? 俺自身のためじゃなく、母さんのためと叶達に嘘を吐くのも手だ。有野も未だに俺が可愛い物、甘い物好きだとは言ってないみたいだからな。


「母さんと会ったの叶だったのか? 能力の事も話したと言ってたからな。この事は出来るだけ内緒に」


「それはゴメン。紗季と悟には話したのよね。これは花畑君に迷惑をかけないためでもあったから」


 何となく予想はしてた。【愚弟】に母さんが来てた事を話した時点で、有野も話に加わってる事に。という事は、【分身】、俺が【変身】した姿の時に有野は何かをやらせるつもりだったのか?


「……仕方ないか。叶が言うなら事実なんだろうしな。話は戻すが、【妖怪の森】のスタンプラリーを集めるつもりだが、付き合う必要はないぞ」


【妖怪の森】のキャラ達がスタンプの場所にいたら、興奮を抑えられるかどうか……


「一緒に探すよ。謎解きみたいなのもあるし、そっちの方が都合がいいから」


 都合がいい……まさか、叶も俺と同じ【妖怪の森】好きなのか!! 今日の遊園地の目的も実は……


「花畑君なら大丈夫かな。私達は白先生のデートを見守ろうと思って。白先生も【妖怪の森】が好きみたいだし、スタンプラリーとかアトラクションは回るでしょ」


 何だろう……鉄のデートの驚きよりも、有野と叶の目的が【妖怪の森】じゃなかった事に落胆する気持ちの方が強いんだが……少しでも有野達が【妖怪の森】好きだと期待した俺が馬鹿だった……

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