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蛍は本気のようです。

 蛍の言葉に危うく鼻からオレンジジュースが出そうになったじゃない。蛍がナンパされてる状況で、助け出されるシチュを私は知っているんだけど……というか、私がオッサンに【変身】した時の事じゃないよね?


 私が【オッサン】に変身した姿に格好良さなんて皆無に等しいから。バーコード頭にジャージよ? それにオドオドした状態だったでしょ。


 蛍は美人だから、あの時以外でもナンパされたのかも。私の時と比べて、格好良さが段違いだったのなら理解出来るわけで……


「へ、へぇ~……その年上の男性は強くて、オシャレだったりするわけね」


「それが全然なの。ジャージ姿だったし、オジ様も怖がってたんじゃないのかな?」


 そう言われると、私じゃないと否定出来ない。あの時、蛍は何か言おうとしてたけど、『一目惚れした』とでも言うつもりだったわけ? 変な汗が出てくるんですけど……


「いやいや……助けて貰ったのはいいとして、惚れる要素がないでしょ」


「その人はまるでお父さんっぽくて……助けてくれたのが嬉しくて」


 確かに父親のフリはしたけど……待てよ……蛍の家族は母親一人で、父親はいなかったっけ? もしかして、枯れ専というか、ファザコンというか……そういうのに憧れがある?


「それでなんだけど、その人は陣子と同じような雰囲気もあったから、好きな物も似てたりと思ったり」


 オッサンだけど、本人で間違いないからね。同じ雰囲気なのは、ジャージが一緒だけで……買い物袋の中身が見えたりしてた?


「オッサンと同じ雰囲気と言われて、喜ぶ奴はいないと思うんだけど……どうせ、ジャージが一緒だったりしただけでしょ?」


「そう!! 陣子が持ってるジャージを着てたの。何処のブランド? 何処で買ったの? あの人が買いに来るかもしれない」


 墓穴を掘ってしまった……蛍の圧が怖いんだけど!!


「【ユニシロ】のジャージだよ。色んなところに店舗あるから。探すのは難しいって」


「けど、この付近に住んでると思うのよ。【マルサワ】の袋を持ってたし、別のスーパーの袋だって。買い物のために近所を回ってるんじゃないかな?」


 凄い観察力が余計に怖いし、正体が私だと知られた時はもっと怖い。


「だから、陣子は私と一緒に捜して欲しいの。二人でいるとナンパ避けになるかもだし、オジ様も陣子と好きな場所が似てるかもしれないから」


 私と一緒に捜す時点で見つからない……とは流石に言えない。それにナンパ避けになるというのは、私の容姿が男っぼい? それとも平凡過ぎる見た目だから?


「私が好きな場所にいるのは無理があるって。そろそろ学校も始まるわけだし。その人は家庭を持ってるかもしれないぞ」


 ここはどうにかして諦めて貰わないと。私の自由の時間が減らされてしまう。


「それは本人に直接聞いてみないと。お願い!! 一緒に捜してくれたら、その時のご飯は奢るわ。それに服装についても文句を言わないようにするから」


「……仕方ないわね」


 じゃない!! ご飯とジャージ姿になっても文句を言わないという甘い言葉に乗ってしまったじゃない。やっぱり無理なんて言った時には……


「良かった。これから見つかるまでは毎日捜すつもりだから」


「それは無理!!」


 蛍の発言にすかさず無理と言ってしまった。私も用事がないわけでもないし、捜索は週一という事で妥協してもらった。勿論、蛍も一人で毎日捜すのはストーカーみたいだからと注意もしておいたから、怪しい行動は取らない……と思いたい。

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