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番外編 花畑薫と若杉がデート?


「なぁ……明後日の日曜日、一緒に遊園地へ行かないか?」


 昼休み。俺はいつものように【妖怪パン】を食べようとしていた。有野は鉄と一緒に職員室に行き、叶と井上は二人で何処かへ行ってしまった。昨日の出来事に関して、有野が何も言ってこないのは、叶が黙ってくれてるお陰なのかは分からない。


 ただ、この昼休みは平和だという事。なのに、こんな時に限って、話し掛けてくる奴がいる。まるで一昨日の再現だ。


「何故、俺を誘う? 誘いたい奴は別の場所に行っただろうが。そもそも、俺達はそんな仲でもないだろ?」


 少し前まで俺を怖がっていた男、若杉。欲望に忠実な奴。こいつは有野の親友である叶に好意を寄せている。その恋の成就のため、俺が有野と仲が良いと勘違いして、協力を仰いでくるから面倒臭い。


「いやいや……秘密を分かち合った仲だろ。昨日休んだのも、有野達のコスプレを見た事に興奮したからだよな。見に行ったんだろ?」


「……馬鹿だろ。何でそんな事に興奮して休まないと駄目なんだよ。【愚弟】には行ってないし、コスプレの件はお前に話を聞かされただけだろ」


 俺が【変身】した状態だったから、【愚弟】に行った事はバレて……名前を知ってる事で怪しまれる可能性が!!


「そうだよな……冗談だから、そんな顔をするなって。あの時は迷惑をかけたと思ったからこそ、この提案をしてるんだよ。新聞の勧誘に遊園地のチケット二枚貰ったからさ」


「だから……何が悲しくて男二人で遊園地に行かなければいけないんだって話だ。これ自体が迷惑この上ないぞ」


 遊園地のチケットが二枚しかないのはそういう事だろ。『一緒に行かないか?』と誘ってるわけだし。その二枚を俺にくれたら、金券ショップでお金と交換してもらうつもりだが。


「違う違う。このチケットで叶と有野を誘うんだよ。いわば、ダブルデート。有野の相手は花畑しかいない。他の奴だったら断られそうだし」


 お前が誘う時点で叶は断りそうなんだが。そもそも、成功してから声を掛けるべきだろ。それに……


「そのチケットをくれるわけでもなく、俺は自腹で行く事になるのか?」


 有野達と若杉のダブルデートなんて罰ゲームだろ。それにお金を払わさせるなんて誰が行くんだ?


「そもそも、有野達が来るとも思えないからな。成功してから誘いに来い。そしたら、考えて……」


 俺は見てしまった。遊園地のチケットに【妖怪の森】の親アトラクション、ショーの宣伝が書かれている事に。


(な、何だと……限定グッズも売ってるのか)


 スマホで調べると遊園地限定のキーホルダーや時計、ぬいぐるみもある。それも売り切れ御免だ。


 一人で遊園地に……【変身】しても流石に厳しい。ペアでアトラクションに入る事で貰える物もあるらしい。ペア……この年で母さんと遊園地も無理だ。俺の趣味を知ってるのは……有野だけ。背に腹は代えられない。若杉の案に乗るしかないのか。


「いや……何度もお前から頼まれるのも面倒だ。今回は俺から言ってみるから、成功失敗どちらにしても次からは頼ってくるなよ」


「おおっ!! 花畑から声を掛けてくれるのか。これは成功率が高くなるぞ」


 俺の後半の言葉が若杉の頭に入ってるかは分からないが、いきなり気持ちが変わった事を怪しむ様子もない。


 後は……有野達をどう誘うかだ。若杉がいるだけでネックになるのが一番の問題だ。

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