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百合展開を望む者達

「姿見って、お前の事だったのかよ。女子達からオウジって呼ばれてただろ?」


「……知り合いだったんですか? 予想してたのと全然違うような」


 女子達が言ってたのは王子様の王子かも……響鬼先輩の登場に恐怖の悲鳴というよりも、歓喜の声を抑えて口を手で塞いでる女子が多数。一触即発はなさそうだけど……


「私もだ。二年の時も隣のクラスで、毎回体育のペアを組まされてた。お互い余ってたから……じゃないんだな」


 響鬼先輩もあの中にいる誰かの心の声が聴こえたのかも。百合好きの誰かが、想像で色んな妄想を膨らませてる……つまり、二人を推している!?


「別の場所に行こう。響鬼と一緒にいるのはそういう事なんでしょ。さっきは拒否して申し訳ないわね」


 姿見先輩は能力者の集いで、教室に入る響鬼先輩を見たと言ってたから、来る事は分かってた。本人も響鬼先輩を指名してたし。


「そ、そうだな。こんな感じだと嫌な予感しかしないんだけど。勿論、二人も一緒に来いよ」


 正直に言うと行きたくない。姿見先輩が響鬼先輩を名前で呼んだ事で、喜んでた人達の羨望と嫉妬の視線が……悟も感じたみたいで、私の後ろに隠れてる。悟がそういうのに苦手意識を持つのも分かるけど……


「はぁ……分かりました。そっちの方が安全そうだし。悟もそうでしょ」


 私と悟の二人だけ残されたら、あの連中の餌食……色々と問い詰められそう。それに私達の能力を姿見先輩に一から教えないと駄目だから。悟もコクコクと頷いてる。


「では……文芸部に行きます。部室の鍵は私が預かっているので」


 姿見先輩はクラスをキッと睨んだ。これは……ついて来るなという意思表示?


「お前ら……盗み見、盗み聞きしてたら嫌われるぞ。絶対にバレるからな」


 響鬼先輩も警告。響鬼先輩の【テレパシー】と悟の【透視】があれば、鉄壁の守りになるから。


「時間も少ないので歩きながら、話せる事を。響鬼はいいとして、二人の名前は」


 文芸部の部室は四階の奥。そこまでに私と悟の名前、【ライソ】のグループ参加の事を話した。私としては、紗季じゃないんだけど、響鬼先輩と姿見先輩の馴れ初めを詳しく聞きたい……姿見先輩が響鬼先輩を名前で呼ぶんだから、何かあったでしょ。


 そう思っても、響鬼先輩は無反応。心の声は別の誰かに切り替えたか、すでに効果時間が無くなってるのかも。


「着きました。鍵を開けますね」


 姿見先輩は文芸部の鍵を開ける。昼休み、文化部は部室でご飯を食べてるイメージがあったんだけど……


「文芸部は私一人になったから大丈夫。新入生を入れるつもりもないんだけど」


 部室の中は本でぎっしりある。それも部員の手作りの奴だ。小説だけでなく、漫画も至るところに散らばっていて……汚い。


「はぁ……今朝の件は私の失敗だね。あの状態だと何も分からないから、響鬼達には迷惑を掛けたわけだし」


 部室に入ると、姿見先輩の雰囲気が和らいだ。もしかしたら、みんなが見てる前では壁を作ってるのかも。

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