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恥ずかしい台詞

「どうしたの? 二年生よね。部活の先輩にでも用事があるの? 名前を教えてくれたら呼んできてあげるけど?」


 廊下にいた三年生の女子が声を掛けてくれた。私と悟が二年と分かったのはネクタイの色。学年によって色分けされていて、三年は赤、二年は緑、今年の一年は青色になっている。


「えっと……私達部活には入ってなくて」


 気を使ってくれた分、響鬼先輩だと伝えるとどんな顔をされるんだろう。響鬼先輩は悟が【透視】を使った時、目を心配してくれた優しい人なんだけど……


「そいつらは私に用があるんだ。叶と井上で間違いないんだろ?」


「ご、ごめんなさい。猪狩さんの知り合いとは思わなくて」


 響鬼先輩が声を掛けてきた事で、三年の女子先輩はすぐさま逃げてしまった。後ろにいただけで怖がられると……確かに凹むかもしれない。


「はぁ……別に怒ってなんかいねえのに……これだから嫌なんだよ。っと、お前達に言ったわけじゃないからな。ちょっとばかし離れるぞ」


 響鬼先輩が声を掛けてきた事で、廊下にいる生徒からの視線が凄い。そこまで珍しい出来事なのかも。そして、廊下の一番端。カツアゲに見えないよう、壁側に響鬼先輩。私達がいつでも逃げれるようにしてくれてる。


「あの……音楽を聴いてただけじゃなく、本を見てたのに……私達が来た事に気付いてました?」


 タイミングが良すぎるのは【テレパシー】を使った? けど、相手を選べるないはずだし、声も響鬼先輩の声。条件も……


「パンの耳……フレンチトーストを食べてたからな。けど、条件はもう一つあるって」


 悟も響鬼先輩が【テレパシー】を使ったと思ってたみたい。パンの種類を確認出来たのも凄いけど……それを聴くとお腹が空いてきた。私と悟は食べずに来たから。


「よく見てるし、よく覚えてるな。もう一つの条件はこれだよ。ヘッドホンとスマホ。心の声はヘッドホンからしか聴こえない。別の人にするのにはスマホで早送りにする。巻き戻しは出来ない。今回聴こえたのは……多分井上だな」


「えっ!! 私!? 何か酷い事思ってたような……」


「全然。クラスの雰囲気の事を考えてたろ?♪それに……恥ずかしいから言わせるな!!」


【テレパシー】にはヘッドホンと操作するスマホが必要? 今はヘッドホンを首に掛けてて、耳に当ててない。音漏れなんかで、私達に心の声が聴こえる……事はないか。


 でも、悟は響鬼先輩の事を褒めたか、格好良いと思ったのかもしれない。響鬼先輩の顔が少し赤くなり、照れてるから。


「さっさと飛鳥と話して終わらせるぞ。っと、二人で分けろよ。腹が空いてるんだろ……聴こえたぞ」


 ……お腹の音じゃなくて、私の心の声!? ヘッドホンから漏れ聴こえてたのが『お腹が空いた』とか、こっちの方が恥ずかしいんだけど!!

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