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乙女座流星群

 乙女座流星群。近年、目視する事がまれになっていたけど、20××年、四月一日。エイプリルフールの嘘のような大量の星達が一斉に流れていく。


 その光は大きく、まるで人へと降り注いでいるかのようで、幾人もの女性達に力を与えた。


 それは選ばれた者から一人だけを選ぶための試練。それは世界を滅ぼす程の大規模で、様々な能力を駆使して戦闘を行う……というお話ではない。



「あの光は何だったのよ。あわよくば異世界転生とか思って、急いで眠りについたのに何も起きないって」


 私の名前は(かなう)陣子(じんこ)、十六歳。一週間後にはピチピチの高校生二年のJK(女子高生)になる。


 私は身長体重も平均値、お洒落にそれほど興味なし、アイドルや韓流何のその。漫画やアニメ、ゲームは少し興味を持つだけの平々凡々。まぁ……好奇心は人並みよりも少し上ぐらい?


 好きな食べ物はケーキやチョコの甘いものではなく、スルメやエイヒレ、酢コンブ等のオヤジ、酒好きのツマミが大好きなのだ。


 深夜に外へ出たのも、やわらかスルメを買いに出掛けたためであり、その帰り道に光と衝突。痛みも全然なくて、光はその場で消えてしまったけど。


「期待して損した。イカ君も昨日食べたい時に食べとけば、その時が一番美味しかったのに」


 私は部屋にあるTVのスイッチを入れて、やわらかスルメの袋を開けた。


「ニュースです。昨夜から深夜にかけて乙女座流星群が目撃されましたが、その星の光に当たったという女性達に意外な事が起き始めたらしいのです」


 ニュースでは【空を飛ぶ少女】【遠くまで見透す鷹の目を持つ女性】【ゴリラのような力を持つ老婆】【両手足を伸縮自在に出来る少女】等、SNSの画像が流されていく。


「という事は……私も未知なる力が? それにしても、今日食べるイカ君が美味しすぎるんだけど」


 私が一番食べたい時に食べるやわらかスルメが最高と思ってたけど、この時に食べているのが歴代一位。何故か飲んだ事もないビールが欲しいという親父の気持ちが分かるかも。


「能力を使う時は何かを消費するんだ……」


 能力は簡単に使用出来るわけではなく、【空を飛ぶ少女】は鶏肉を食べる。【遠くまで見透す鷹の目を持つ女性】はブルーベリー。【ゴリラのような力を持つ老婆】はバナナと大半は、何かの食べ物を摂取。


「私が欲しい能力は【変身】能力とか面白いかも……人の心を読むとかは怖いし……って、変な声がする!?」


 それも野太い声で、私と同じ言葉を復唱してる。


「……部屋の中に誰かいる?」


 部屋の中を確認しても沢山のぬいぐるみがあるだけで、私以外誰もいないはずなのに……鏡を見た時に映ったのは、漫画やアニメ出てきそうなバーコード頭に眼鏡、ダボシャツ、ダボパン、腰巻きと昭和臭さがあるオッサン。そんな人形なんて持ってるわけがなくて……


「幽霊……じゃなくて、私なの!?」


 鏡には私自身が映ってなく、オッサンに入れ替わってる。しかも、服装自体も変化してるところに驚くところなんだけど。声を出す時、オッサンの口が動いてるし、顔を触ってみても間違いない。


 この物語は、主に私がオッサンに変身する、ただそれだけの日常生活である。

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