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グリーンスクール - 紅月  作者: 辻澤 あきら
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紅月-6


           * * *


「あのぉ、すいません。ここ野球部ですね?」

「あんだぁ、オマエ」

ヤンキーまがいの喋り方で睨んできた学生に臆しながらも、第一印象をよくするつもりでできるだけはっきりと由起子は言った。

「すいませぇん、新入生の緑川由起子です。入部希望です。よろしくお願いしまぁす」

「入部ゥ?女だろ、オマエ。マネージャーはいらねえんだよ」

「いえ、選手でお願いします」

「バカか?女の選手がいるか?」

「いいじゃないですか、高校野球じゃないんだから」

「ナマ言ってるんじゃねえよ」

低い声で脅しのように言った学生の横にいた、少しもの静かな雰囲気の学生が間に入ってきた。

「まぁ、待てよ、黒田。ちゃんと説明してやらねえと。なぁ、お嬢ちゃん、ここの野球部はな、潰れたんだよ」

「潰れたって?」

「去年、部員の何人かが暴力事件起こして、そいつらは退学になったんだけど、部活も謹慎させられて、今はまともな部員はいないんだよ」

「あなたたちは、部員じゃないんですか?」

「まぁ、一応は部員だけどな。いま、おい、何人いるんだ?」

「五人くらいじゃないか?」

「と、いうことだ。試合もできないし、まぁ、練習なんかやる気なんかないし、開店休業ってとこだな」

「でも、新入生が入ってくれば、人数はなんとかなりますよね」

「そりゃそうだけど。俺達のこと、よく知らねえんだな、オマエ」

「お嬢ちゃん、一応言っておくけど、俺達は結構ワルで通ってるんだよ。こんなとこ出入りしてたら、どうなるかわかんないぜ」

「どうなるって、どうなるんですか?」

「ガキだな…」

「いいじゃねえか、入れてやれよ」

「しかたねえな。おい、今日は吉村さん来てないから、一応だけど、OKだ」

「ありがとうございます」

「今度、吉村さん来たときに、正式に許可もらったら正部員だ」

「吉村さんって部長さんですか?」

「まぁ、どっちかっていうとリーダーって言う方が正しいけどな」

「じゃあ、それまでは見習いということでお願いします」

「見習いかぁ、それも悪くねえな。おい、青木、新入生いっぱい取ったら面白いんじゃねえの」

「バァカ。そんなこと言ってる場合か。それより、オマエ、何してるんだ?」

慌てて青木は由起子に言った。そこでは由起子が制服を脱ぎだしていた。

「何って、着替えてるんです。このままだと練習できないから」

「お、おい、オマエ、ここに男がいるんだぞ」

「あ、でも、部室ここですから」

「バカヤロウ!体育館に女子の更衣室があるから、そこ行って着替えてこい」

「はぁい」


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