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紅月-33
瞬く間に、ファントム・レディ陥落の噂が広まったわ。
あたしは、寮から実家に戻ってしばらく引き籠もっていた。
悔しかった…。何もかも、悔しかった。
騙されたことも。女の子として扱ってもらったことが嘘だったことも。犯されたことも。それより、なにより…、ファントム・レディの伝説を失ってしまったことが…一番、悔しかった……。
隙があったのよね。迷いがあった。女としての迷いがあった。このまま、ずっと戦わなきゃいけないんだろうか…、ずっと男より強くなければ、強くありつづけなければならないのだろうか…、そんな不安があったのね。
疲れてたのかもしれない。中学一年のときからだから…。
でも、そんなことは言い訳にならない。負けてしまった以上、あたしがファントム・レディの伝説を穢した。それを拭い去るにはどうすればいいんだろう。ひとり、部屋にうずくまりながらずっと考えた。でも、それはもう無理だった。あたしの体が穢されたように、もう取り返せないものだった……。
そうして、あたしは鬼になった……。
―――……鬼?
あたしは、復讐に走った。ファントム・レディとしてではなく、一個の人間として、一個の女として、あの男に復讐を企てたの……。




