表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
グリーンスクール - 紅月  作者: 辻澤 あきら
31/38

紅月-31


 細いカーブを登ると、開けた丘にバイクは止まった。由起子は、バイクを降り、ヘルメットを取った。高台の丘は田園風景の真ん中に立っている立山高校を一望できた。風が由起子ののびた髪をくすぐる。傾きかけた陽射しは、由起子の顔を紅潮させた。由起子は風と陽の感触を楽しみながら、その風景を眺めた。

「結構、きれいだろ」

「ん。新設だっけ?」

「うん。五年。僕が三期生」

「あたしも、三期生」

二人は顔を見合わせながら笑った。

 泉央一号線を失踪したバイクは、深山駅の近くで南に折れ、小さな喫茶店の前に止まった。由起子は不思議な気分でバイクを降りた。山内はヘルメットを脱いで、バイクのエンジンを止めた。

「ここ?」

由起子もヘルメットを取って訊くと、山内はにこりと微笑みながら答えた。

「うん、もうここまで帰ってきたし、ちょっとくらいいいだろ?」

「うん」

 慣れた様子で山内は店に入った。店内はこぎれいな雰囲気で、小さいながら安心できる造りだった。

「いいお店ね」

「うん。時々、ツーリングの途中に寄るんだ。今日はまだ帰るのももったいないし、由起子ちゃんに見せて上げようと思ったんだ」

由起子は少し顔を赤らめ、頷きながら店内を見回した。

 静かな音楽が流れている店内には、コーヒーの香りが漂っていて、冷えた由起子の体が温まるにつれてしみ込んでくるようだった。人の少ない店内は、こうして山内と二人でいても何も気恥ずかしくない。ふと、前を見ると山内がじっと由起子を見つめていた。その視線に気づいて戸惑ってしまった。

「ど、どうしたの?」

「んん。由起子ちゃんって、こうして見てるとスポーツギャルって感じじゃないなって思ったんだ。ほら、スポーツ選手って結構骨太だけど、由起子ちゃんってどことなく華奢だから」

「そ、そんなことないのよ。もう、脚なんか太くて、筋肉が浮いて見えてるから短いスカートなんかはけないの」

「へぇ~?そうなんだ。でも、見てみたいな、由起子ちゃんのミニスカート」

由起子は照れながらコーヒーを口にした。暖かな液体が喉を通って、体が熱くなるのを感じると、次第に眠くなってきた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ