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グリーンスクール - 紅月  作者: 辻澤 あきら
26/38

紅月-26

 ―――相手のせいなんだろ。先生はやめたがってるのに。

 そうでもなかったのよね。あたしも、楽しんでたみたい。だって、強いなって思う相手はほとんどいなかったんだもん。いまでも、イチロー君と腕相撲しても絶対負けないわ。そんなに腕力のついたあたしに、見かけだけ見て挑戦してくるのよ。なんだ、どんないかつい女かと思ったら俺よりチビじゃねえか、なんてね。でも、そういう連中を簡単に放り投げることもできたわ。それが、面白かったのかな。

 強い人はね、よけいなケンカはしないの。あっちこっちのリーダー格の人と友好協定結んでね、お互い無益な争いはやめましょうっていうことで、平和的だったわ。

 ―――じゃあ、野球の方に集中できたの?

 まぁ、新設校だったから、三年生が一期生でね、おかしな伝統もないし、上下関係も緩やかだし、あたしみたいな女が一緒に練習してても許されてたのよね。それで、バッティングピッチャーなんかやってて、後は球拾いと、練習試合の相手くらい。それでも、みんなの役に立てるっていうことが楽しかったわ。

 ―――甲子園に行ったんだよね。

 うん。二年のときにね。結局、一年のときもお兄ちゃんとは公式戦では戦えなくて、練習試合だけだったから、目標を甲子園に変えたの。一年の夏の大会で結構いいとこまで行ったし、上岡から上手い後輩が泉央に入ってくれるって言ってくれたから、これなら行けるんじゃないかって思って、みんなで、目指せ甲子園!

 ―――いいなぁ~。俺も行きたいよ。

 甲子園行った時に、こんな話があったのよ。

 あたしをマネージャーとしてベンチに入れてやろう、ってみんなで相談してくれたの。知ってる?マネージャーでも女はベンチに入れないのよ。それをなんとかしてやろうって、高野連に交渉してくれたのよ。…結局ダメだったけどね。

 でも、嬉しかったわ。みんなが、あたしを仲間だと認めてくれているんだ、ってわかったから。スタンドから見てても自分がグラウンドにいるように感じたわ。

 ―――優勝できなかったの?

 それは無理だったわ。一回戦勝っただけ。それだけでも、大したものなんだけどね。それからは、何回か甲子園に出てるでしょ。

 ―――最近は、常連みたいだよね。俺も、成績が良くなんないんなら、あそこへ行こうかなぁ。

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