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グリーンスクール - 紅月  作者: 辻澤 あきら
22/38

紅月-22


          * * *


 病院を退院しても右腕が動かせるようになるまで、しばらく家にいた。直りきっていない体で登校すれば、仕返しに会うかもしれないと思ったからだった。

 家族には、抗争に巻き込まれたと言った。数十人の乱闘を見ているうちに、その乱闘の巻き添えにあったせいだと言った。両親とも半信半疑だったが、そんな危ない学校なら辞めなさいと、転校を強く勧められた。由起子は、とりあえずもうしばらく通ってから決めると言った。結婚して家を出ていた姉真由美も見舞いにきてくれた。それでも、ファントム・レディのことは訊けなかった。

 ほぼ完治して登校すると、どうもみんなに見られているような気がする。教室に入ってもみんなどこかよそよそしい。もしかして、知られているのかと思いながら、授業の用意をしていると、秋葉たちが教室に入ってきた。

「緑川さん、もう大丈夫なんですか」

敬語で話し掛けられて由起子は戸惑ってしまった。

「なに?どうしたの、秋葉さん」

「そんな、いいですよ。秋葉で」

「でも、秋葉さん三年だから…」

「いえ、そんな、ファントム・レディに失礼なこと」

あ、と思ってしまった。

「ど、どうして、知ってるの?あれが、ファントムだって?」

「え?」

 秋葉の話では、あの時由起子が立ち去った後、誰かがぽつりと言ったらしかった。ファントムだ、と。それが、またたく間に広まって、由起子がファントム・レディだという噂になったのだった。

 「やっぱり、ファントムなんですね」

「…ん、まぁ……」

由起子は自分が創り出したとは言えなかった。このまま、ファントム・レディでいる方が安全に思えたからだった。

「これからも、よろしくお願いします」

秋葉は深々と頭を下げて出ていった。振り返った教室の空気が、由起子には重かった。


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