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グリーンスクール - 紅月  作者: 辻澤 あきら
19/38

紅月-19


          * * *


 ―――ドジン?

 そう、奴隷の人と書いて『奴人』。それが、彼らの最低レベルのランクだったの。集中イジメのゲームよ。


          * * *


 「こいつは、奴人にする!」

田口の叫び声とともに、歓声が上がった。そして、あちこちから物が投げつけられた。生卵、トマト、牛乳パック、爆竹、ボールそしてパチンコ玉。それらを全身で浴びながら、吉村は地に伏した。見る見るうちに吉村の制服は汚物にまみれ、土にまみれていった。調子の乗った不良は、石まで投げつけた。まだ、投げつけている間はよかった。やがて、手に金属バットを持った不良が吉村に投げつける真似をしながら、叩き始めた。吉村が呻き声を漏らすのにあわせて、歓声はますます大きくなっていった。

 由起子は間近にそれを見ながら、震えていた。あまりの陰惨さに目を瞑ってしまいそうになった。しかし、どうしても目は閉じようとしなかった。いまのこの光景から目を離せなかった。

 遂に耐え切れなくなった。投げるものがなくなって、砂や石を投げつけているその中央へ、由起子は走り出してしまった。そして、吉村をかばうように覆いかぶさった。

「やめて!もうやめてぇ!」

由起子の声に群衆が一瞬静まったのは、ただ驚いただけだった。次の瞬間にはさらに大きな歓声が上がり、口笛を鳴らし囃し立てる者がいた。そして、由起子にまで石が投げられた。散らばっていたボールを投げつける者もいた。由起子まで獲物になってしまった。

 「やめろぉ!」

田口が立ち上がって、叫んだ。それに合わせて、興奮は鎮まった。田口はゆっくりと近づいて、そして吉村に覆いかぶさっている由起子の髪を掴んで顔を上向かせた。そして、薄笑いを浮かべながら、訊ねた。

「お前も、奴人になりたいのかぁ?」

興奮冷めやらぬ群衆は、由起子の返事を待っていた。そこに、秋葉が割り込んだ。

「待って、田口さん。その娘、まだよくわかってないのよ。今日のところは、あたしに免じて、勘弁してやってよ」

田口の腕にすがりつきながら訴える秋葉に、嬉しそうな笑みを向けながら、田口は答えた。

「かおり、俺は、こいつに訊いてるんだ。お前の出る幕じゃない」

その言葉とともに秋葉は田口から引き離された。

「さぁ、どうする?お前も奴人になるか?」

由起子は恐怖のあまり頷きそうになった。田口の瞳は冷たく、目元には嘲りの兆しが浮かんでいる。それは、人を玩ぶ目だった。由起子は、しっかりと自分を支えながら、言った。

「それでも、構いません。だけど……」

「だけど、何だ?」

「一度だけ、あなたと決闘させて下さい」

「は?」

「あなたと決闘して、あたしが勝てば、この人を許して上げてください」

田口は大声で笑うと、由起子の髪を離した。

「ははは、俺に勝つだって?こいつは、大笑いだ。おい、場所を空けろ」


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