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グリーンスクール - 紅月  作者: 辻澤 あきら
14/38

紅月-14


          * * *


 部員の揃った野球部は活気に満ちていたわ。そんなに一生懸命クラブ活動やってるクラブなんて他になかったから、物珍しそうに眺める不良がネット裏に集まるくらいだったの。初めは嫌々だとか、かったるいとか言っていた先輩もね、いつの間にかあたしよりも熱心になっていて、良き先輩として下級生を指導してくれたわ。吉村先輩が仕返しに来ることもなくって、全てが順調になっていったように思えた。

 そんなある日、秋葉先輩から声が掛かったの。

 ―――ケンカ?

 んん。もっと厄介なこと。


          * * *


 秋葉につれられて、プレハブの柔道場に入ると、今まで見た不良より一層質の悪そうな連中がたむろしていた。立ち込める煙草の煙にむせて咳をしてしまうと、視線が集中した。秋葉はそんな連中の中へずかずかと入り込んで、由起子を手招きした。そして、奥にふんぞり返っていた男の前に連れ出した。

「この娘が、こないだ話した新人。ほら、挨拶しな」

「あ、初めまして、緑川由起子です」

男は物珍しそうな目で由起子を見回した。そして鼻で笑いながら、

「こいつ?」と言った。

「そうさ」

「なんだ、ちんまりしてんじゃねえか」

「ふふ、見かけによらないってのは、この娘のことだよ」

「ふーん。まぁ、いいや」

「ほら、この人が、この学校のボスさ。田口さんって言うんだよ」

由起子はそう言われてまた頭を下げた。田口はまだ珍しそうに見てる。おっとりした雰囲気だったが、全身から殺気が出てるように感じられた。

「どう見ても、ただの女の子にしか見えねえな」

「ま、そのうちわかるよ。それでさ、吉村のヤツにちょっかい出さないように言って欲しいんだよ。この娘はアタシの可愛い子分だからね」

「あぁ、わかった」

「いいかい、あんた、あたしの子分だってことは、田口さんの部下でもあるんだ。これからずっと世話になるんだから、ちゃんと挨拶しな」

由起子は納得のいかないまま、深々と頭を下げた。


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