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紅月-13
「え?」
「あんた、空手かなんかやってるだろ。そういう娘が欲しいんだよ。どうしても、女なんてなめられるからね、あんたみたいに腕の立つ娘が欲しいんだ」
「でも、入って、どうするんですか?」
「アタシが呼ぶときに一緒に来ればいいだけさ」
「それで……?」
「ふん、後はその時にわかるよ」
由起子は戸惑った。薄笑いを浮かべてる秋葉が何を考えてるかおおよそ検討がついた。ケンカに使う気なんだ。由起子は俯きながら、静かに言った。
「……あたし、野球がしたいんです」
「ぁん?」
「野球がしたいだけなんです」
「なんだ?」
「だから、すいません。野球部の方を優先したいんです」
「それは、どういう、こと?アタシ、の頼み、断る、ってこと?」
「すいません。とにかく、いまは野球がしたいんです」
「断るんだね?」
「すいません」
「いいんだね。吉村が、仕返しに来るよ」
「……」
「野球部なんて、ぶっ潰されるよ」
「そんな……」
「あいつならそのくらいやるよ」
得意気に話す秋葉を見ながら由起子は躊躇いながら頷いた。
「…わかりました。でも…、野球部の試合があるときは、勘弁して下さい……」
「あぁ、いいよ。じゃあ、そのうち連絡するよ」
三人は悠々と立ち去った。由起子は後味の悪い思いをしながら、その姿を見送った。




