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魔導書になったご先祖様とオレの冒険譚  作者: タク44
 第二章 傭兵王国編
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 第二章 第7話 馬車は大事だな


 倉庫を作った後から、オレ達の悪評はうなぎ登りに上がった。


 今までは“変態パーティー“だったが、今は"外道パーティー"にランクアップをした。

 オレには、"職員殺しのユウ"の二つ名がつき、ギフターブには、"幼女キラー"の二つ名がついた。


「「なんで、こうなったんだ……」」


 ギルドの酒場で、オレとギフターブは落ち込んでいた。ただ、頑張っただけなのに……


 他の冒険者からは、わかりやすく避けられていたが、アイスと双子は気にしない。


「他人なんて、どうでもいいですよ」


「私達だけ、いればいい……」


「邪魔者がいなくて、丁度いい」


 ほとんどの理由は、コイツらのせいだが、今更しょうがない……


「今日は、馬車を最高に快適にしようと思う」


「えっ! 侵入禁止エリアの捜索は? 世界を救うんだろ?」


 興奮する、ギフターブの気持ちも分かるが、長い旅の中で、硬い床に腰と尻を痛めたくない。重要な事なのだ。


「ギフターブ。オレ達の長い旅はまだまだ続く、コレからなんだ。旅の途中で、馬車が壊れたらどうするんだ?」


「もしかして、改造するのは……」


 息を呑むギフターブ。


「トラブルを避け、頑丈で硬く、快適で早い馬車を作る為なんだよ」


「確かに、馬車が壊れたら1日が潰れる。早くなれば、新しい場所や目的地にも早く着ける! そうゆう事だな! ユウ!」


 静かに微笑みながら、グットサインを出した。


「よし! 行こう!」


 テンション高いな、ギフターブ。心なしか、双子も嬉しそうに見える。無表情だが……


 馬車の木材を、デビルプラントに交換は完了していた。軽くて、異常硬い強度は上がったが、尻の問題がある。痔はヤバイからな……


 馬車に揺られながら、悪評について考えいた時に。ギフターブが話しかけてきた。


「俺達は、何でこんなに、悪評が立つうんだろうな……」


「何でだろうな……」


 馬車を運転しながら、そんな話をしているとクロスに言われる。


『なんじゃ。まだ、気づかないのか? ギフターブはともかく、ユウはわかりそうなんじゃが』


「どうゆう事ですか? クロス殿……」


『ワシは、最強の魔導書じゃぞ? 何の代価もなしに強大な恩恵を受ける事ができると思っとるのか?』


「「へっ?」」


 驚くオレとギフターブに、クロスは続ける。


『"不評なる者達"ワシを所有する者は、犬を助ければ、虐待と叫ばれ、子供を保護すると、誘拐と指を差される、定めなんじゃ』


「つまり、いい事をしても悪く思われるって事なのか?」


『そうゆう事じゃな。好意を持つのは、変わり者か、爪弾き者とかじゃな』


 そういえば、アイスは仲間から除け者にされていたし、ギフターブは元々嫌われ者だった。双子は変わり者だ。


 クロスの奴め、後出しジャンケンみたいな事を……


 しかし、このバットスキルが霞む程、クロスの恩恵はデカい。無限のような魔力、魔法の知識、様々なサポート、あのフルプレート。


「悪評はしょうがないのか……」


「そうですよ。逆に言えば仲間になる人は、本当に信用できる人って事ですよ」


「限定パーティーはいい……」


「悪人を排除する」


 アイスと双子の言葉にはっとした。考え方を変えると確かに、そうだな。

 下心や悪巧みで、近づく人間が減ったと考えれば、良いのかもしれない。


 目的のアーデル山脈に着いた。今回は、スリープゴートとゆう羊を狩に来た。


 なんでも、敵を眠らせてから、蹴り殺す羊だそうだ。


「さて、殴り殺すか、頭を飛ばすか。毛に血を付けたくないんだよな……」


「どちらにしても、酷いけどな……」


 呆れるギフターブだが、血生臭い絨毯は御免だ。気持ち良く、寝れない。


 オレが、ガントレッドで羊を殴り殺し。双子が金属バットで撲殺。アイスとギフターブはサポートをしてもらい。見える範囲の、魔物を全滅させた。


「さてと、毛も大事だが、肉も食いたかったんだよな」


 結界を張り、スリープゴートを解体した後に、毛を洗い乾かした。

 馬車に皮ごと打ち付ける。鍛冶屋から釘を買ってからすぐに終わった。


「モコモコ気持ちいいです〜」


「モコモコ最高……」


「夢心地」


 馬車の中で、転がり回るアイスと双子。

 楽しそうで何よりだ。


 いつ拾ったか忘れていた、鉄の盾の内側を全て引きちぎり、盾の表面をガントレッドで殴ってへこむまで殴った。


「ユウ、大丈夫か? 相談に乗るぞ?」


 心配そうにギフターブに見られながら、ジンギスカン鍋を作った。


「肉をコレはで食うんだよ」


「わざわざ、盾をダメにしなくても……」


 正論をギフターブに言われたが、うる覚えなんだが、昔TVで、チンギスハンが戦場で鉄の盾を鍋にして、羊肉を食べた話を聞いた事がある。


「一度やってみたかったんだ!」


「そ、そうか、別に良いぞ」


 盾で焼き肉を食べる。普通だった。


「ユウは、たまに変な事をするんですよね」 


「そうなのか、ストレスが溜まってるのか」


 ギフターブとアイスが、内緒話をしていた。


 馬車は、フワフワの羊の毛で快適になったが、なんとも言えない気持ちになった。



 


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