エルフ × ドワーフ = ? ~リットとギルの恋物語~
サンライザー王国には
『ドルフ』
と呼ばれる町が有る。
その町の住人がそう呼んでいる訳ではない。
サンダーホルンと呼ばれる各国に裾野を伸ばす霊峰の一角に位置する。
「そこの短足殿。その醜さがあまりに哀れだ。これを恵もう」
町の鍛冶屋を訪れたエルフの男性は、店の商品を磨くドワーフにそう言うと、台の上に一抱えもの木片が入ったカゴを置いた。
「あ”あ”? 竹っ子みてぇな奴に恵まれるほど落ちぶれちゃいねぇよ! おめぇらみてぇな軟弱者にぁこれがお似合いだ」
木片を手に持ったドワーフがそのエルフに見事な彫刻が施された弓を押しつる。
「むむ……しかし、これではあまりに」
「文句あんなら二度とくんな! 仕事の邪魔だ、出ていけ!」
追い出されたエルフは弓を握りしめる。
「また、ドワーフに借りを作ってしまった」
追い出した方のドワーフもまた、クソッと呟き、木片を一つ一つ確認する。鍛冶の際に重宝する貴重な燃料である。
「エルフっつぅのはなんて面倒くせぇ奴らだ」
二人に共通しているのは、苦々しい表情と、嬉しげな瞳であった。
『ドルフ』
エルフとドワーフが、表向きはいがみ合いつつも共に暮らす町。人間族には不可解極まりない町である。
エルフとドワーフ。
彼らは一見すると、どう見ても日々喧嘩をしているようにしか見えない。
だが、実際はそうではない。彼らにしか解らないことではあるが、決して仲が悪い訳ではない。むしろ、逆である。
ドルフに在住するエルフは、元々はほかのエルフ族と同様に森の木々の枝に家を造り住み、森の恵みで原始的な生活を営んでいた。
一方ドワーフは、山に要塞のような石と鉄の建物を建て、鉱石と宝石を掘り加工し人族との貿易で得た金で、不得手な畑作の穴埋めのため、作物を購入していた。
彼らがその中間地点に町を造ったのは、二年前の春。とある異変がきっかけであった。
「リット様……貴女様だけでもお逃げ下さい」
「エリオット。どこへ逃げよ、と?」
この森のエルフの当主はまだ成人したばかりの少女であった。前当主だった母は冥界に旅立ったばかり、それも一週間前に天寿を全うして。
森と共に生き、森へと還る
それがエルフの自然の営み。迫り来る魔物大発生を前にエルフの里は蹂躙されようとしていた。察知はされていた。が、森に張った結界を過信した結果であった。
この森の初代女当主が張った結界は、魔物と呼ばれる自然災害を遠ざける力を持っていた。徐々にその力を失い、今回の魔物大発生によってついに結界が消滅してしまったのである。
ただ、その結界技術は伝えられることなく初代女当主と共に墓に埋められた。特異な能力だったのである。
「あぁ……初代様……私に力が有れば……この身などどうでも良い、皆を守る力を……力を」
神殿に避難してきた全住人の前で、なりふり構わず祈りを捧げる。
固く閉ざされた扉や壁を激しく打ち付ける、大型魔獣の群。
翼型魔獣が居ないのが幸いと言えた。もし居れば神殿の高窓から襲撃されていただろうから。
「おっすおっす俺ぁドワーフだ!」
そしてその天窓から、一人のドワーフが乗り込んできたのだ。
「何奴!?」
弓を構え、弓を持たぬ者は手をかざし精霊術を放とうとする。
「ドワーフだ! おうおうおう! 嬢ちゃん、おめぇ今、命うんたら言ってやがったな? そんなら俺様がその命拾ってやんよ! エルフのお嬢ちゃんよぉ!」
巻き舌で啖呵を切ったのはドワーフの中でも一際巨躯で、力自慢、元冒険者でもあるギルであった。
「あなたは……山の」
エルフの女当主、リットは驚きで目を見開く。
「俺が、助けてやってもいいんだぜ? お前の身と引き替えだがなぁ!」
そう目の前のドワーフはのたまう。
リットはギルと面と向かって会ったことはないが、山のドワーフとの交流と呼べるものは無く、関係も思わしくないものであることを嫌がおうにも思い出す。
ドワーフは森の恵みを乱獲しがちでよくエルフに妨害され、エルフは山の恵みを得ようとするもお返しとばかりにドワーフに邪魔される。そんな関係がずっと続いていた。
「あの、魔物の群を、ですか?」
エルフは状態異常や環境改変は得意な精霊術を操ることが出来る。だが火力に乏しいそれらの術では倒し切れず、魔力で強化された魔獣の毛皮は固過ぎてエルフの得意な弓もまた弾かれる。
エルフ達にとっては最悪の敵であった。
だが、ドワーフならどうか。彼らには魔獣の守りを物ともしない超重量武器とそれを軽々と振り回す膂力がある。代わりに弓の扱いや気配を読むなどといった細かな事が苦手な面もあるが、こと大型魔獣にとっては天敵そのものと言えた。
「お願い、できますか」
己の身をドワーフに捧げ、皆が助かるならば本望である。
「ああ、契約成立だな! 終わるまでテメェらはここで縮こまってろや!」
ドワーフの長、ギルは叫ぶ。魔獣など赤子のような雄叫び。
「野郎共! さっさとぶっ殺して酒飲むぞぉおおおおおおおおおおぉおおおお!」
「「「オォオオオオオオオオ!」」」
「お頭、あんたぁ、ほんと趣味悪ぃガッいってぇ!」
お頭、と呼ばれたギルは部下の頭を愛用の大斧の柄で殴った。
「バカ野郎! そんなんじゃねぇ! こいつぁあれだあれ、エルフどもに森の資源を寄越させるための人質だ!」
目を泳がせ、顔を真っ赤にしての反論を誰が信じようか。
ギルは若い頃、それこそ思春期に入るか入らないかくらいに武者修行として人族の多く住む街で冒険者をしていた。それ故か、女の趣味も見慣れてしまったからか人族基準になってしまい、どうにもドワーフの女に興味がもてなくなってしまったのである。そんなドワーフはまず居ないのだが、例外中の例外がギルであった。
里に戻ったあとでもそれは変わらず、日々悶々としていたところに森と山の境目の川で、水浴びをしていたエルフの女当主を見つけ、一目惚れした。
浴衣を身につけてはいたが、それでも美しさと艶美な色気を放っているようにギルには見えた。
それから何度も覗き見をし、恋心を育てていった。
エルフとドワーフの美醜感覚には大きな差があることを知っているが故に、人族同様相手にされる訳がないと思ったギルは声をかける勇気がもてず、魔物大発生を知ることとなった。
「お頭、どこ行くんで!? 森は今危険ですぜ! エルフの奴らだってきっとお陀仏に!」
「だから行くんだろうが!」
「お頭を行かせる訳にぁいきやせん! 万が一があったらどうするんですかい! なんでエルフ達なんぞを助けるために!」
ギルは鍛冶仕事はさっぱりだが、その武力と、ドワーフの中でも出鱈目な怪力で採掘では皆の尊敬を集めるドワーフである。
実力主義のドワーフ達の中では最も尊敬される者が頭領となる、という暗黙の了解があり、ギルがその地位にあった。
「おめぇ、そりゃ、あれだあれ!」
「どれですかい!」
「あれっつーとあれだあの、冬、そうだ冬!」
「今は春ですぜ!」
「冬に備えてだな!」
「冬に備えてなんで魔獣の群に向かおうってんですか!」
「エルフ共を助けてだな! こう、そういうのが得意そうなあいつらをいい感じに働かせて俺らは鍛冶と採掘にせいを出しゃいい感じにいい感じでよっえっと、そう、楽するためだ!」
「お頭、エルフを奴隷にするつもりですかい!? 奴隷は禁止されてますぜ! バレたら縛り首だ!」
「ちげぇよ! 不平等条約だ! あいつらに貢がせるんだよ!」
「キャッホー! さすがはお頭だ!」
という頭の悪いやりとりを経て、ドワーフ隊はエルフを助けたのである。
(なんて、力強い……凄い……格好良いぃい……すてきぃいいいい!)
エルフの男達が魔獣に精霊術や矢を弾かれて泣きながら逃げてきた姿を見たリットは失望していた。なんて男は情けない生き物なのだろうか、と。
だが、それはすぐに塗り替えられた。情けないのはエルフの男達である、と。
現れたドワーフ達、特に一撃で三メートルはある魔獣をしとめるギルを神殿の高窓から熱い視線で突き刺していた。
「な、なんと、凄い力だ! あっという間に倒していくぞ!」
「ああ、ああ! クソ、我らにもあの力があれば、リット様を差し出さずに済むものを!」
ドワーフ達の武力を同じく見つめ頼もしくも、悔しがるエルフ達。助かるためとはいえ、敬愛するリットをドワーフ達に差し出さねばならない、とリット自身が約束してしまった。
(あぁあカッコイイイィ! キャーキャーキャー! 私も滅茶苦茶にしてぇええええ! その逞しい腕で力一杯抱きしめてぇえええええええ!)
本人は完全にギルの男っぷりに落ちていたが。
「かくなる上は、事が済んだ上で奇襲を」
「そ、そうだ、あんな約束は無効だっ」
そんな言葉を、黄色い嬌声をあげそうになりながらも認識し、リットは慌てて制する。
「黙りなさい! 今後、私たちを助けたドワーフの人々に対し不誠実な者、不義理を成そうとする者は私がこの手で耳を削ぎます! 恥を知りなさい!」
その一言で、不穏な言動は消えた。エルフにとって耳を削がれるというのは生き恥そのものである。
(あ、あのお方は、わ、私を、私をどうするつもりでしょう!? た、楽しみです! キャーキャーキャアーーーー♪)
そして、ドワーフ達は重傷者を出すことなく魔獣の群を追い払ったのである。里は見るも無惨な姿になり、エルフの女当主、リットを代償にエルフ達は救われた。
全ての魔獣を追い払ったギルらドワーフの戦士達はエルフ達が待つ神殿に足を踏み入れた。
戦後処理である。
ギルとしては何とかこれを期にエルフの姫君を手に入れたかった。このチャンスを逃したら最後だと思い、例え恨まれようとも恩を盾に手に入れるつもりであった。
「この度のご助力、感謝の言葉も御座いません」
「おうおうおう、お姫さんよぉ」
美しく礼を表するリットに向かって、ギルはオラオラオラとチンピラがやるように近づき睨みつける。
(何こいつ何こいつ!?マジベッピンじゃね!? デラベッピンじゃね!?)
ギルはにやけそうな顔を表情筋で必死に律しながら下からリットを覗く。
「約束通り、てめぇは俺っちが貰うからよ」
「は……はい」
傍目から見ると、山賊が少女を脅しているようにしか見えない。エルフ達も「くっ何という屈辱!」だの「我々のために、リット様がっ!」と血の涙を流さんばかりに悔しそうである。
当の本人は
(たくましいかっこいいすてき抱いて抱いてぇええ♪ うほほおおおおお♪)
とメロンメロンだが。
「んで、早速だが」
「ま、待て!」
「「あ”ん?」」
リットだけでも早速連れ帰るつもりだったギルは突如割り込んできた男性エルフを睨みつける。リットも睨みつける。
(なんだこの男!? 俺はさっさとこのお嬢タンをお持ち帰りしてあっはんうっふんぶひひひひしてぇんだよ! 邪魔しようってのかぁああ!?)
(なにこの人! 私はさっさとこの王子様にお持ち帰りされてあっはんうっふんぬほぉおおおおしたいのに! 邪魔するつもりですかぁあああ!?)
ある意味似た者カップルである。
「(なんでリット様が睨んでくるの!?)わ、我々は家も田畑も失った、元に戻すまで一ヶ月でも足らない! 今、当主であられるリット様に去られては先行きが立たない!」
確かに、住居はことごとく魔獣達に荒らされ住める状況ではないのをギルも見ていた。
ただ、ギルはさっさとリットを連れ帰ってニャンニャンニャニャーンしたかった。エルフの住居なんてどうでもいい。
「あ”あ”ん!?」
「お頭ぁ、目的忘れてねぇっすか?」
「は? 目的?」
そこでふと、思い出す。エルフ達を助ける代わりにこき使う、というプランを部下達に話した気がする、と。そして部下達は戦う相手としては今回の魔獣達は相性が良いし、その後楽できるなら、と付いてきたのだと。
「あ」
「あ? 今、お頭、あ、って言いました? 忘れてたっしょ?」
「忘れてねぇよ! ボケェエエエ!」
ゴッ!
部下の尻を蹴っ飛ばして壁に埋め込むギル。その破壊力にエルフ達は恐れおののき、リットは
(きゃーーーーーーーー!! すごおおおおおおおおい! なんて破壊力! 壁に埋め込むなんて、どんな脚力してるのぉおおおおおお!? おほぉおおおおおおほほぉおおおおおお!)
埋め込まれた部下のドワーフが普通に「いってぇ! いってぇっすよお頭ぁああ!」と立ち上がっていることは全く気にせずギルの脚力をさらに魅力として受け入れていた。
ギルはギルで無い頭をフル回転させて案を考えた。どうやってさっさと連れ帰るか、という意味合いでの案だが。
「家のこたぁ解ってる!」
「え、あ、は?」
確かにリットに居なくなられると纏まりという意味では困るのは確かだが、何とかリットを一時的にでもギルの手から遠ざけたかっただけである。
「家は俺らが立派に立て直してやる! あんなへなちょこのじゃなくて、魔物だろうと巨人だろうと壊せねぇような壁付きでな!」
木の上に家を建てる技術など無いドワーフ達だが、普通の家なら建てられる。
「へ!? な、なぜ、そこまで!?」
「その代わり、おめぇらにも働いて貰うからな! ぎゃっはっは!」
浮かんだのは完璧なプランだった。
山と森の境目に街を造り、その後ドワーフ達はこれまで通り、否、これまで以上に採掘と鍛冶に専念する。エルフ達にはドワーフ達の苦手な森での狩猟や森での採集、農耕をやらせれば良い。町ができるまでは手狭となるがドワーフ達の砦に住まわせれば良いのだ。
丁度ドワーフ達の砦も人口増加で新たに建て増ししなくてはいけない時期だったので、その町に希望するドワーフの家を建てれば良い。
エルフの命を助け、さらにその後の復興も手助けすればもはやこのエルフ達は逆らえまい、と。この美少女とて、仲間達の生活が握られていれば逆らえまい、と。
ギルの私利私欲はこうして町という形で実現されることとなったのである。
そして近い居住区、同じ釜の飯を食べているうちに、特にエルフ達はドワーフ達のことを理解していった。
「助けられたのは事実だし、せめてもの礼にと鹿肉を持ってったんだが……酒を持たされてしまった」
「それじゃお礼じゃなく物々交換じゃね? 俺も似たようなことされたけど」
「こき使われると思ったら、そうでもないし……それどころかあいつらドワーフ達だけでどんどん立派な家建ててくし、本当に俺らの家らしいぞ……なんかもう、理解が追いつかないんだが」
「ああ、俺もよく解らん。なんであいつらあんなに俺らによくしてくれるんだ? そういやあいつら畑仕事、本当に嫌いなのな。収穫出来た野菜とか食べられる野草渡したら凄い農具くれたぞ」
「俺も貰ったけど、凄い捗るよな」
「ああ、今までの倍は耕せる」
「なぁ……」
「あぁ……」
「あいつらって興味あること以外不器用で面倒臭がりなだけで、裏表ないし凄い付き合い易いんじゃね?」
「あぁ……粗暴と言えば粗暴だが、俺らエルフも外の人間からするとお高くとまってるとかで印象悪いらしいからな。お互い様な気がしてきたなぁ」
「ドワーフのお姉さま方も、始めは怖かったんですけど、でも付き合ってみて解ったんですが凄く優しいんです。懐深いというか、厳しい時も有りますが、でも私たちのこと思っててくれて叱ったり励ましてくれて……」
「ええ。そうなのよね。子供達のことも私たちが外に採集に行ったりしてる間、預かってくださって、ドワーフの子達と一緒に分け隔てなく接してくれてるようで」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「でも真正面から礼を言うと、あいつら照れるよな」
「まぁ……それはそれで良いと思うが、調子合わせるくらいでちょうど良いのか?」
「気を使わせない程度に気安く接するのが良いんじゃないかしら?」
「多分、それが正解ね」
ドワーフ、めっちゃ良い人達じゃね?
と、歩み寄っていった、というよりも慕っていったのである。
元々は細かなことを気にしないドワーフの気質と恩を受けたら返さなくてはプライドが許さないエルフ達は良い意味で噛み合っていた。
ドワーフたちは基本的に頑固ではあるが、男は豪快で頼られれば嬉しくなって応えようとしてしまう明るい単細胞、女は女で肝っ玉母ちゃん気質で困っているのを見ると自分たちの身内のように助けてしまうお人好しぞろい。
ドワーフ達にしてみても、エルフ達がもたらす農作物や森の恵みがありがたく、多少の面倒を見る程度でどのドワーフもやりたがらない仕事をしてくれるのには感謝していた。「ラッキー! 面倒臭ぇことやらなくて済むじゃん! エルフ達、まじありがてぇ!」と。
エルフとドワーフは、お互いにピーキーな性能故に補えるところが多かった、むしろ離れて暮らす不便に気付いてしまったが故に共生の道しかあり得ないのであった。
防衛についても肉弾戦のドワーフ、弓と精霊術による後方支援のエルフが共闘すればおいそれと魔物や人族や魔族などの侵攻も恐れる理由にはならなかったのである。
リットをギルに奪われる云々については、その後のリットの様子から
「あれ? 隠してるっぽいけど、リット様、もしかしてあのドワーフに滅茶苦茶惚れてね?」
「いやいやいや、あれどう見ても惚れてね? ほかの女と話してるとこ陰から盗み見てハンカチ噛んで滅茶苦茶嫉妬してね?」
「ギル殿もリット様がほかの男と話してると殺気やばくてリット様に用がある度に俺失禁しそうなんだけど?」
「あ、超解る、あれやべぇ。殺気で人殺せる」
「本人達が良くてドワーフ達と問題起きなければそれで良くね?」
「だな」
「だな」
と認識され、誰も何も言わなくなったどころか煽るようになった。
「旦那様」
「んぁ……りっとぉ……むにゃむにゃむにゃ」
「ふふ……可愛い」
ドルフという町は、一人のドワーフと一人のエルフが結ばれ生まれた町である。
エルフとドワーフの間に生まれた子供達は後に町の呼び名と同じ『ドルフ』と呼ばれることとなる。
それは蔑称ではない。
エルフの美貌と精霊術の素養、そしてドワーフの逞しさと鍛冶の才能を劣化させることなく受け継ぐ、どの種族も羨望の眼差しで見る新人類である。
ギルとリットの子供の世代、『ドルフ』達が各国の、被差別種族達を救うこととなるのだが、その元々のきっかけはギルとリットである、と歴史家達の著書に記され、演劇などでも広く人類に愛されることとなる。二人の愛が、種族による差別を根絶する力になった、と。
ドワーフとして、エルフとして、種族としての一般的とは言えない性的倒錯者二人によって、多くの人々が救われるのだが、それはまた、別のお話。