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犯行のオキテ

完全二重犯罪

作者:鷹野 砦
 その事件は、都内の喫煙所で起こった。その喫煙所は、ある会社が広告塔も兼ねて分煙の促進のため、最新鋭の空気清浄機を搭載したハイテクなものだった。
 そんな場所で事件を起こされてはたまらない。会社は我々警察に通報したものの、近頃話題の探偵を送り込んできた。本当に厚かましい。警察が綿密に調査しているところへ乗り込み、悠々と見物をするものだから上司も困っている。

 事件の被害者はN。Nはこの喫煙所を開発したチームのサブチーフであり、顔は中々のイケメン(関係ないが)。他の経歴から見ても、私としてはかなり羨ましい人生だと思う。近々昇進する予定だったそうだ。
 そのNが、喫煙所で自殺した。
 死因は窒息死。現場に遺書は見当たらず、こんなに羨ましい人生を過ごしている人物としては、あっけなさすぎる自殺だった。他殺のセンで調べはしたが、全く該当する者は見当たらない。唯一、昔の同僚は彼を憎んでいたようだったが、死亡推定時刻である午前8時~9時とは合わず、いわゆる「アリバイがある」状態だ。また、彼の弟が気になりはしたものの、動機がはっきりしていない上に、5年間も連絡が付かないそうだ。
 警察は自殺として処理する方針だったというのに、そこにあの探偵が手を挙げた。彼の名前はS。たまたま件の昔の同僚と苗字が似ている。Sは4年前くらいにひょっこり出てきた探偵で、その素性は不明ながらも、数々の事件を解決している。
 Sは余計な事なのに、わざわざ排気口やフィルターを調べた後、昔ながらの探偵らしく、関係者一同を集めていきなり推理ショーをやらかした。

 Sは適度に間を開けて発言した。
「この中に犯人がいます。」
 バカ。怪しい奴は昔の同僚であり、他は警察関係者だ。それは昔の同僚が犯人だと言ってるようなものだ。
 無駄なことが嫌いな私は心の中で文句を言った。
「まず、状況の整理をしましょう…。」
 だから無駄なんだってば。
 しかし、その推理は見事なものだった。
「私は、排気管の中で埃が四角く取り除かれている所を発見しました。これは恐らく、何者かが何かを置いた跡でしょう。また、フィルターには通常、大量に発生しないようなガスが、大量に付着していた。そのガスは――。」
 そのガスの名前は、私も聞いたことがある。特に有名ではないし、それ自体に毒はない。しかし、酸素ではないため、これが空気中にかなりの割合で含まれていたとなれば、被害者は酸欠状態になり、やがて窒息死するだろう。
 このガスのことを知っていたのは、数年前に容疑者が被害者と共に開発したガスだからだ。圧縮すれば簡単に液化する、便利な気体らしい。
「恐らく、容疑者は気体を噴霧するセンサー式の装置を排気口にセット。被害者と待ち合わせをする場所に喫煙所を指定したのでしょう。そして、被害者が入ったのと同時に装置が起動したのです。」
「その後、容疑者は天井から輪をかけたロープをぶら下げ、そこに被害者を引っ張り上げて自殺に偽造したのでしょう。もちろん、死亡推定時刻よりずっと後にね。」
こうして、事件は解決した。被害者の肺からは同様のガスが検出されたため、逮捕は決定的となった。犯行の後始末のため、空気洗浄機を動かしてガスを取り除いたのだが、それもまた証拠となった。

 しかし――。

 気になる点がある。それは、探偵が被害者を検死していた時だ。
(ん?)
 一瞬だが、探偵はライターのようなものを取り出し、被害者の口に近づけたようだったのだ。不審な行為ではあったものの、事件の急展開の中ですっかり忘れていた。
 それに、あんな推理をよくすぐに思いついたものだ。見て一日で推理できるような探偵は、現実にいないと思うのだが。
 また、例の昔の同僚(容疑者)は、すぐに犯行を否認している。みんな往生際が悪い犯人だと思っているようだが、私は何となく違うように思える。自殺を偽装するにしても、縄目が硬直した死体に、あれほどくっきり付くものなのだろうか?

 「そういえば、あの気体は空気との比重がおもいんだっけなあ……。」
 振り返ると、そこにはニヤリと笑った不気味なSの姿があった。
自信がありませんが…、
とりあえず最後まで読んでいただけたら、幸いです。

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