不幸は続くよどこまでも
この小説には、たまに残酷な表現と軽い性的な表現が出てきます。不快に思われる方は読まれないようにお願いいたします。
振り返ってみれば、こんなもんでしょ?
ってな人生でした。
ああ、申し遅れました。
私「七瀬なずは」と申します。
享年15歳になりますかね? 初っ端から死ネタで申し訳ないんですが、簡単に語らせてください。ええ、かなりかいつまんで話しますから。
私は、私生児ってやつでした。ちょいと頭と下半身が緩い母親から生まれてきました。常時5,6人の男性とお付き合いをしていた母親は、父親が誰かわからない私を生み落しました。母親自身、生活能力皆無なのにですよ? 誰にも認知されない子供をよく育てようと思ったもんです。どこか豪胆なところがあったのでしょうか? いえ、何も考えちゃいなかったんですよ。
まあ、そんなこんなで水商売しかできない母親と二人だけの生活が始まりました。物心つくころから、母親のダメっぷりを間近に見てきたものですから、小さいながらも私がしっかりしなければと思っていました。小学校に上がるころには、その辺の主婦真っ青な程、家事をこなしていました。それより以前、幼いころには保健所に保護をされたり、養護施設にお世話になったこともありました。なんせ母親は子育てなんて全くしなかったわけですからね。なんど衰弱死しそうになったかわかったもんじゃありません。が、なぜか母親は毎回違う男を隣に連れて私を迎えに来るんです。愛情があったんでしょうかねぇ? いえ、幼いながらも家事をこなす私がいないと生活がやっていけないと頭にインプットされていたんでしょうね。
まあ、虐待などの暴力行為があったわけじゃないので、施設に連れて行かれては、家に戻るの繰り返しでした。
小学校の高学年になると、籍を入れた本格的な父親が登場しました。これが見事なほど働かない男でした。ということで生活能力0、2匹を抱えた私は年齢を偽ってバイトなるものを始めました。近所の小料理屋で夕方から夜遅くまで働きました。いい年をしたカマおじさんでした。定吉さんじゃなくて、定子って呼べって言ってましたっけ? バレバレの年齢詐称をしている私を快く良く迎え入れてくださいました。
まあ、それなりに平穏な生活でしたよ?
酒を飲んでも暴力を振るうことはないけれど、働かない義父と結婚しても男をとっかえひっかえしている母親。私は昼間、学校に行っているし、夜は小料理屋でバイトをしているし、二人に会う時間などほんのわずかでした。飲んだくれの義父は、酔っ払って寝ていることが多かったですね。酒さえ与えておけばご機嫌でした。暴力行為はないし、性的虐待もないですし、多少、ネグレクト的な気もしますが、私本人がなんとも思わないと言っているのですからいいじゃないですか。
で上がった中学校生活といえば、ご多分に漏れずイジメなるものを受けていました。でもなんていうんですかね、思春期のイライラっていうんですか? 他人を貶めることでしか自身のいら立ちを昇華できない人たちを見ているとですね、かわいそうってんですか? そんな気がするわけですよ。こちとら家族生活を背負っているもんですから、「暇なことしてますね。」ってぐらいでした。子供の相手はできませんよ。本当に忙しいんですよ。まあ、高校に行くつもりもありませんしね、中学を卒業したら、定吉さん、いえ、定子さんとこで就職するつもりでした。ええ、家を出たいと思いましてね。親の面倒をどこまで見るのか悩んでいましてね。アルコール中毒まっしぐらで、いつか闇金に借金をしそうな義父といつ誰の子供かわからない子を孕んでくるのかわからない母親。私、お先真っ暗でしょ? いくらなんでも自分の未来まで親のせいで潰したくないんですよ。普通なら、ここまで大きく育ててもらった恩とかありそうなものですけど、私に関しては、あまりないと思うんですよね。結果、親を捨てることになりますが、ここまででも十分だと思う訳ですよ。まあ、子供はいつか巣立つってことで勘弁してくださいなって感じです。
まあ、定子さんとは同居する方向で話が進んでいました。
えっ? 定子さんは50代のオッサンですよ?
やましい考えなどなく私の身を案じてくださって、
「なずはちゃん。私のとこに来なさいよ。一緒に住みましょ?」
とお誘いをしてくださいました。ですから後一年、中学生活を我慢すればいいと思いまして。イジメもそんな酷くはなかったですし、かわいいもんでしたよ? 小さなころから母親の店に出入りをしていたものですから、「や」のつく職業の方にお会いしたこともありますし、〆なるものを目撃したこともありますし、女同士の取っ組み合いなんて日常茶飯事でしたしね。あれに比べれば、学校のイジメなんてお飯事の延長線みたいなものでした。ほら、定番な上靴の中に画鋲&土とか水浸しの体操服&ゴミ箱とか。かわいいでしょ?
まあ、それはさておきですね。
享年15歳の話ですね。
それはですね。私のほかにもイジメなるものを受けている人物がいましてですね。その現場に偶然遭遇してしまったんですよ。そこで、お仲間に入れられてしまってですね。 名前なんでしたっけ? ああ、そうそう倉本さんですよ。その倉本さん、日ごろのイジメのうっぷんが溜まっちゃったんでしょうね。ナイフなるものを所持していたんですよ。いやあ、切れた人間って怖いですね。やたらめったらに振り回してですね。気づけば私、ご臨終していたんですよ。短い人生でしたね。
で、なんでこんな話が語れるのかと言えばですね、まあ、なんていうんでしょうか。不幸な私の人生を神様が嘆かれてですね転生させてくれたみたいなんですよ。トリップなるものをさせてくださいました。
異世界ですね。
まあ、そこから永いながーーーーーーい人生が始まるわけなんですが、どうやら不幸な体質は受け継がれてしまったようなんです。
なんなんですかねぇ。
冷めた主人公ですが、よろしくお願いいたします。