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9.【神回確定】数万人が見守る『奴隷のデスゲーム』と、Aランクのイキリ

 突如として立ち上がった星宮かりんの配信枠。


 設定されたタイトルは『【神回確定】タイトルは始まってのお楽しみ!』。


 最近人気急上昇中の彼女のゲリラ配信、しかも意味深なタイトルとあって、開始から数分で同接(同時接続者数)は一気に数万人へと膨れ上がっていた。


[コメント]

:待機

:タイトルなんだこれ?新企画?

:お、画面映った!暗いな、どこだここ?

:かりんちゃん泣きそう?どうしたの!?


 真っ暗だった画面が切り替わり、薄暗く、岩肌が剥き出しになった広大な空間が映し出される。

 

 画面の手前にかりんの顔がドアップで映り、彼女はひどく不安げな、庇護欲をそそる表情を作って見せた。


『みんな……急な配信ごめんね。かりんだよ。今ね、蒲田ギルドの真下にある「地下決闘場ダンジョンアリーナ」に来てます……』


[コメント]

:地下決闘場!?

:ガチの私闘する場所じゃんヤバいって

:え、後ろにいるの誰?


 かりんの操作でドローンカメラがふわりと浮かび上がり、決闘場の中央を映し出す。


 そこには、強力な魔装大剣を肩に担ぎ、自信満々に不敵な笑みを浮かべるイケメン探索者・煉と、その腕にまとわりつく結衣。


 そして少し離れた場所で、スマホの画面を血走った目で見つめ、親指を高速で動かしているスウェット姿の拓真がいた。


『今日はね……私の専属ボディーガードになってくれた彼と、Aランク探索者の煉さんが決闘することになったの。もし私たちが負けたら、私……煉さんの「奴隷」になる契約なの』


[コメント]

:ファッ!?

:奴隷!?!?ガチで言ってんの?

:相手Aランクの煉じゃん!期待の星のやつだろ!

:かりんちゃん逃げてえええええ


 コメント欄が騒然とする中、カメラの存在に気づいた煉が、ニヤニヤと下劣な笑みを浮かべながらドローンに近づいてきた。


「よぉ、星宮かりんのリスナーども。俺はAランク探索者の煉だ。見ての通り、これから俺がそのFランクのゴミを公開処刑してやる。で、俺が勝ったらお前らの大好きなかりんちゃんは、俺の『専用のオモチャ』になるってわけだ。配信でもたっぷり可愛がってやるから楽しみにしてな」


 煉はわざとらしくかりんを舐め回すように見つめ、結衣が「もう煉ったらぁ、私がいるのにぃ!」と甲高い声を上げて腕に胸を押し付ける。


 その醜悪な光景が全世界に配信されたのを確認し、かりんはカメラの死角で意地悪く口角を吊り上げた。


(ギルドの連中も完全にいなくなったわね。……さあ、ここからが本番よ)


 かりんは手元の端末を操作し、伏せていた配信タイトルを、あらかじめ用意していた本命のモノへと更新した。


『【神回確定】Aランク探索者vsボディーガード!敗者は奴隷のデスゲーム!』


[コメント]

:タイトル変わった!!

:うわぁ……Aランクってこんなクズなのかよ

:吐き気がする

:誰かギルド止めろよ!犯罪だろ!

:かりんちゃんハァハア

:オワタ。スウェット男がAランクに勝てるわけないじゃん……

:どうしてこんなことに...脳が破壊されてしまう(´・ω・`)NTR反対!断固拒否!


 リスナーたちの悲痛な叫びと怒りのコメントが滝のように流れる。煉の傍若無人な態度は、見事に数万人のヘイトを一身に集めていた。しかし、当の煉はその「注目」を浴びていることに脳汁を垂れ流し、さらに調子に乗って大剣にボワッ!と炎の魔力を纏わせる。


「ヒャハハ!泣いても喚いても無駄だぜ!ギルド公認の決闘だからな!さあ、底辺モブ!いつまでスマホ弄ってんだ、遺書の準備でもしてんのか!?」


 煉が威嚇するように大剣を振るい、熱風が闘技場に吹き荒れる。


 だが。


 リスナーが「ああ、もうダメだ」と絶望したその時。カメラが捉えたスウェットの男――拓真の口から漏れたのは、決死の覚悟でも、命乞いでもなかった。


「……あーくそっ!なんで『10連!最低保証1,000円』で本当に最低保証しか出ねえんだよ!ふざけんなクソ運営!確率操作してんじゃねえぞ!!」


 拓真は、Aランクの威圧など1ミリも感じていない様子で、ただひたすらにガチャの爆死にブチギレていた。


[コメント]

:え?

:この人何してんの?

:ガチャ引いてる……?

:相手Aランクだぞ!? メンタルどうなってんのwww

:現実逃避かな……もうだめぽ(´・ω・`)


「て、てめぇ……!俺を前にしてふざけてんのか!!」


 完全に無視された煉は、顔を真っ赤にして青筋を立てた。「ボコボコにして、そのふざけた面ごと切り刻んでやる!!」と殺意を剥き出しにする。


 怒号が響く中、かりんは最高の盛り上がりに内心でガッツポーズを決めた。


(全員が絶望して、あのクズ男へのヘイトがカンストした『今』――やっちゃって、カバン男さん!)


 かりんはスゥッと息を吸い込み、よく通る声で宣言した。


「――それでは!双方、準備はいいですね!決闘デュエル……開始スタートです!!」


「消し飛べェェェッッ!!【紅蓮爆炎斬】!!」


 かりんの合図と同時。


 煉が全身の魔力を爆発させ、燃え盛る大剣を振りかぶって無防備な拓真へと襲い掛かった。

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