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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。

"白水受墨"

掲載日:2026/03/04

「僕たちみたいな粘躰が交接を行うと」


怪訝そうに僕は君に尋ねる

「意識まで混ざって、場合によっては戻れなくなると聞くけど………」


君は、ふーっ、ふーっ、と息を吐きながら、僕の両手首を離さない

実のところ、僕には選択権は無いのかも知れなかった



人類種の中でも、僕たち粘躰は特殊で、家には絶対に躰中の水分量を保つため、浴室のような窓の無い多湿の部屋が用意されて居る

衣服を脱いで水の補充を行う事などから、同性同士であれば、裸で同じ場所に居る事も、僕たちの場合は普通に有る


状況の特殊さは「僕が君に組み敷かれて居る」という事、一点だけだった


タイル張りの部屋に、スプリンクラーの音だけがして居る

君があまりに握り締め過ぎたせいで、僕の腕に君の指が混ざる


互いの躰の水が混ざっていく、じゅっ、という音

意識の中身総てが爆発するような気持ち良さが、それに続いてやってきた


声がする

自分の躰が、それに合わせて震えて居る

声は、抑え切れない悦びに、僕が仰け反りながら上げた声だった



「ねえ……」


「嘘だよね、なんかその……」


意識が冷静さを取り戻すと、動揺だけが残る


なんとかして君を宥めたかった

でも、躰の繋がってしまった部分が視えた途端、眼から涙が溢れてきた


「入っちゃってるじゃん……」



「どうするんだよ、これ…………!」


「お前さ、こんな事して病院でなんて言う───」


言い掛けて、息を飲む

僕が泣いて居る様を視て、君は逆に興奮してしまって居るみたいだった


「ねえ」


声が掠れるのは、涙のせいか

心に恐怖でも在るのだろうか


心が落ち着かず、客観的に考える事が出来無かった


「まだ、今なら取れるかも知れないし……」


「誰にも、あの…言わないであげるから……」



君が僕に、捕食のように躰を重ねる


足が重なる

腿が重なる

胴が重なる

指が重なる

腕が重なる

唇が重なる

頭が、重なり混ざる

それが全部、一瞬のうちに起こった



自分のものではない意識が沢山入ってくる


でもそれが、とても心地良かった

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