一夜限りの王
第十六章:南仏の夜風と、一晩限りの「復活」
「んっ……ふふっ、本当に滑らかな肌だ。それにこの素晴らしい胸の膨らみ……。鮎の身体も極上だが、お前も素晴らしいぞ」
持子は、腕の中に飛び込んできた美女のブロンドの髪を撫でながら、もう片方の手でその豊満な胸を服の上から容赦なく揉みしだいた。
「あ、あんっ……! ひっ、あぁぁ……っ!」
持子の『極黒の魔力』を帯びた指先が急所を撫でるたび、美女の口から甘く、狂おしいほどの嬌声が漏れる。
エティエンヌの魂は、ついに念願だった「持子に抱かれる悦び」を前にして、歓喜の絶頂で弾け飛びそうになっていた。
(ああ……っ! 彼女の熱い手が、魔力が、私の(女の)体を隅々まで凌辱していく……ッ! これだ、私が求めていたのは、これだったのだ……ッ!!)
エティエンヌは自ら進んでガウンの紐を解き、その雪白の裸体を月明かりの下に晒した。
「ほう……! なまら美しいではないか!」
持子の黄金の瞳がギラギラと肉食獣の光を宿す。
持子は美女の上に馬乗りになると、その赤い唇に自身の唇を深く、乱暴に押し当てた。
「んんっ……!? ぁ、んんんっ……!!」
濃密な口づけと共に、魔王の圧倒的な覇気と生命力が、粘り気のある漆黒の魔力となって、美女の体内へと直接流れ込んでいく。
「ぷはっ……! 素晴らしい……もっと、もっとわしの魔力を注ぎ込んでやるわ!」
「あぁぁっ……! お待ちください、私の王……っ。あなたに、一つ……極上の『貢物』がございます……」
熱い吐息を漏らしながら、金髪美女は自身の胸の谷間から、妖しく光る小さな小瓶を取り出した。
「……なんだ、それは?」
「吸血鬼の王族にのみ伝わる、秘伝の魔法の薬ですわ。……これを飲めば、あなたの魂が真に望むもの――かつての『男としての象徴』が、一度だけ、この一晩だけ……完全に復活いたしますの」
「な、なんだと!?」
持子の黄金の瞳が、これまでにないほど見開かれた。
女の肉体に転生して約二年。絶世の美貌と引き換えに失ってしまった、前世・董卓としての「雄の証」。
それが、一晩だけでも取り戻せるというのか。
「さあ、王よ……。これを飲み、真の『男』として、わたくしを徹底的に抱き潰してくださいませ……ッ!」
美女がとろけるような笑みを浮かべて小瓶を差し出す。
「おおぉぉっ! まことか! それはなまら素晴らしい薬ではないか!!」
持子は歓喜の声を上げ、なんの疑いもなく、その小瓶をひったくるように奪い取った。
相手がどこの誰とも知れない女であり、怪しい薬であるにもかかわらず、バカで真っ直ぐな魔王は後先など一切考えない。
キュポンッと蓋を開けるなり、持子はその秘薬を一気飲みした。
「んんっ……!?」
途端に、持子の体内で爆発的な魔力の連鎖反応が起きた。
強大な真祖の魔法薬が、持子の内なる「董卓の魂」と完全に共鳴し、肉体構造を一時的に作り変えていく。
白磁の肌を持つ絶世の美少女の股間に、かつて暴君として天下の美女たちを泣かせてきた、立派で凶悪な『雄の象徴』が、熱を帯びて顕現したのだ。
「ふ、ふは……はははははっ!! 戻った……! わしの、わしの『男』が戻ってきたぞ!!」
持子は股間の熱い質量を手で確かめ、狂喜乱舞した。
「ああっ……素晴らしいです、王よ……! さあ、遠慮なく……あなたのすべてを、私の中に……ッ!」
ベッドの上で四肢を広げ、妖艶に誘う金髪の美女。
完全に「雄」のスイッチが入った持子は、野生の獣のような獰猛な笑みを浮かべ、彼女の柔らかな股の間に割って入った。
「いくぞ! 貴様のその美しい体、芯までわし色に染め上げてくれるわ!!」
「ひぃぃぃぃぃッ!!」
ズドンッ!!
何の前触れもない、容赦のない魔王の『一撃』。
金髪美女の口から、悲鳴とも歓喜ともつかない、絶頂の叫びが迸った。
「あ、あ、あああああぁぁぁぁっ!! 持子……っ! すごい、あなたの、男が……私の奥深くまで……ッ!!」
「ふはははっ! どうだ! これが天下を統べた魔王の力よ!!」
甘い南仏の夜風が吹き込むスイートルームのベッドで、二人の美しい肢体が激しく絡み合う。
持子は、前世の暴君の記憶と、失われていた「男としての本能」をフルスロットルで解放し、眼前の美女を徹底的に悦楽の底へと叩き落としていった。
「ひぃっ! そ、そこは……あぁっ、魔力が、直接……ッ!」
「ふはは! どうした、もう声が出んか? 遠慮はいらん、わしの熱を全部受け止めろ!」
魔王の蹂躙的な『攻め』に対し、女体化した真祖は完全なる『受け』としてドロドロに溶かされていく。
だが、交わりの中で、エティエンヌの持つ強大な「真祖の血の魔力」もまた、持子の体内へと還元されていた。
極上の女を抱き潰す快感と、流れ込んでくる芳醇な魔力。そして何より、転生してから初めて味わう『男としての交わりの感覚』に、持子の脳髄は完全に焼き切れる寸前だった。
「はぁっ、はぁっ……。お前、ただの女ではないな? なまら濃密な魔力をしておる……。だが、最高だ……! 魂の底まで痺れるわ!」
「ああっ、持子……っ! 私たち、これで……これで完全に、一つに……ッ!」
互いの魔力と汗が混ざり合い、シーツは無惨に乱れ、部屋中にはむせ返るような甘い匂いが充満する。
狂気じみた真祖の愛と、美少女好きの魔王の性癖が、最悪の(しかし本人たちにとっては最高の)形で合致してしまった南仏の夜。
「い、いく……! わしは、果てるぞ!!」
「ああっ、出してください! あなたのすべてを、私の中に……ッ!!」
「おおおおおおぉぉぉぉぉッ!!」
持子の雄叫びと共に、かつての暴君の熱い種と、極黒の魔力が、絶世の美女の最奥へと勢いよく放たれた。
「ひゃあぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
美女もまた、魔王の種と覇気をすべて受け止め、弓なりに反り返って究極の絶頂を迎える。
それは、言葉の壁も、種族の壁も、そして「性別の壁(物理)」すらも魔法の薬で超えた、濃密で、狂乱に満ちた一夜の儀式の完了だった。
「はぁっ……はぁ……っ」
事を終え、美女の上に倒れ込んだ持子。
転生して以来、約二年ぶりに味わった『男としての絶頂の感覚』と、一気に放出した魔力の反動は、持子の予想を遥かに超える凄まじいものだった。
「……ふおおおおおぉぉ……っ、なまら……最高、だった……ぞ……」
限界を超えた快感の波に、持子の黄金の瞳がグルンと上を向き、白目を剥く。
プツンッ。
脳内のヒューズが音を立てて飛び、持子は美女の豊かな胸に顔を埋めたまま、完全に意識を失って「気絶」してしまった。
「……ふふっ。愛しい私の、王……。とても、強くて、激しかったですわ……」
腕の中で幸せそうに気絶している持子の黒髪を撫でながら、女体化したエティエンヌは、極上の満足感と共に微笑んだ。
(これで……この極東の魔王は、完全に私のもの……。明日の朝、私が正体を明かした時の、愛に満ちた彼女の顔が楽しみだ……)
完全に思考がバグりきっているドMの真祖は、明日待ち受ける『世界一恐ろしいモーニングコールと、魔王の全力逃走劇』のことなど微塵も想像することなく、愛しい持子を抱きしめたまま、深く、甘い眠りへと落ちていくのだった。




