出逢い
「ソフィア、今日はお前にあって欲しい人がいるんだ。将来ソフィアと結婚するかもしれない人たちだよ。しっかりと挨拶をしなさい。」
5歳になったばかりの頃、父に言われて連れて行かれたのは大きなお屋敷だった。そこで私、ソフィア・グレイスはノア・ミシェル、ジル・テディ、レオン・イヴの3人の男の子と出逢った。あとになって知ったのだが、父親同士が級友で、さらにその子どもたち(つまり私たち)もたまたま同い年という偶然が重なり、私は3人のうちの誰かと結婚するということになったらしい。親というものは本当に勝手な生き物だと幼いながらに思った。
「はじめまして。ソフィア・グレイスです。よろしくお願いします。」
「はじめまして。ノア・ミシェルです。よろしく。」
「どうも。ジル・テディです。よろしく。」
「レオン・イヴです。よろしくお願いします。」
そんな簡単な挨拶だった。全員同じ貴族という立場だったし、同い年だったから気も使わず話せた。だからかしこまった雰囲気が苦手な私は勇気を出して提案してみることにした。
「ねね、敬語無しで話そうよ!!距離感じない?」
「うん、そうしよ!!じゃあみんな俺のことはノアって呼んでよ。様つけられるのあんまり好きじゃないから。」
「だな!じゃあ俺はジルで。」
「俺はレオンでもレオでもどっちでもいいよ!」
「じゃあみんな2文字だからレオって呼ぶね!私もなんでもいいんだけどなあ。」
「じゃあソフィーって呼ぶよ。じゃあ改めてよろしく!」
ノアが提案してくれたソフィーは私の初めての宝物になった。それから私たちはよく遊ぶようになった。大人に見つからないようにこっそり屋敷を抜け出して、流星群を見に行ったこともあった。そのすべてが私の宝物になった。私は結婚相手を選ぶことをいつしか忘れていた。そんなある日、ノア、ジル、レオといつものようにレオの屋敷で遊んでいたときにレオに庭に行こうと言われた。
「ソフィー、今日はみんなでピクニックしようって言ってるんだけどどう?」
「ピクニック?!やりたい!!」
「もうジルとノアは行ってるから俺らも行こう!」
「もう!ソフィーもレオも遅い!早く食べよーぜ。」
「ごめんおまたせ!そんなに急かすならジルが教えてくれても良かったのに。」
「ごめんごめん、ソフィーが来る前に急に決めたから。」
「それよりさ、ジル、レオ。俺らソフィーに言いたいことあるんだよな?」
「なになに??私に言いたいこと??」
「「「ソフィー、俺と結婚してください」」」
「、、、え?」
急に言われて最初は何を言われたのかわからなかった。でも3人の目を見て本気なんだとわかった。
「いや、きっと、ずっと一緒にいたから分かんなくなってるんだよ。幼馴染としての好きと、恋の好きが。3人には私よりもずっといい人がいるよ!」
「いや俺にはソフィーしかいない。」
「右に同じく。」
「俺もだよ」
私は本当にこの3人の誰かを結婚相手として選ばないといけないのかな。これからどうなるんだろう。
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