表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

74/87

75話 『実家でパンツ干すな──天日干し攻防戦』

──午前十時。晴天。


 


茨城の朝は、澄みきった空と、どこか懐かしい空気に包まれていた。


 


(……今日こそ、静かで平和な一日になるといいな)


 


俺は洗濯物を干しながら、そう思っていた。


 


ところが──その“ロープ”には、とんでもないアイテムが並び始めていた。


 


・黒レースに赤いリボン──歩美。

・淡いベージュに控えめフリル──玲奈。

・サイドがほぼ紐だけ──舞香(Tバック)。

・そして、その一番手前には──

 ハートマーク付き・幸香の勝負パンツがぶら下がっていた。


 


「……誰のだこれ!?」


 


思わず叫ぶ俺。


 


すると、背後から妹の声が飛んできた。


 


「お兄ちゃん♥ 干す順番、フェチ優先で並べといたから♪」


 


「フェチ優先ってなに!?俺の嗜好で整理するな!!」


 


「え? 兄の反応速度とか、瞳孔の開き具合から自動判定したんだけど?」


 


「余計にヤバいわ!!」


 


 


 ***


 


さらに、別の場所でも事件は進行していた。


 


「ちょっと、私のパンツだけ裏返しで干すのやめてくれない!?」


 


歩美が、舞香と仁王立ちで口論していた。


 


「そちらの“面積比”が倫理的に問題ではなくて?」


 


「私のは品のあるセクシーなの! あんたのはもはや“局部告知”なのよ!!」


 


「……むしろ、戦闘装備ですわよ?」


 


「はあああああ!?!?」


 


そして──


 


「……そもそも、なぜ庭先に“パンツバトル”を展開しているのですか?」


 


玲奈が静かに指摘したその瞬間だった。


 


──ギィ。


 


縁側の戸がゆっくり開き、母・静江が登場。


 


湯飲みを片手に、空を見上げて呟いた。


 


「……ふぅ。良い天気。空は青く、空気は澄んでて、そして……」


 


その目が、パンツロープにロックオンされた。


 


 


 ***


 


「……あの布……全部で四枚……」


 


母の眼光が鋭くなる。


 


「“娘用”にしてはバリエーションが豊かすぎる。……まさか──」


 


俺は震えながら、最悪の事態を悟った。


 


(このままじゃ、全てバレる!!)


 


とっさに、口から飛び出した言葉がこれだった。


 


「お、おじいちゃんの介護用ですッ!!」


 


静江「……」


 


歩美「……」


 


玲奈「……あれで……!?」


 


舞香「むしろ元気すぎますわね、アレは……」


 


妹「お兄ちゃん天才♥」


 


 


 ***


 


しかし、母・静江は静かに口を開いた。


 


「……介護パンツに、レースはついてないわよね?」


 


「ふ、ふふふ……そ、それは……“介護の心にも華を”というメーカーの新作でして……!」


 


「あと、なんでTバックなの?」


 


「じ、じじい、通気性重視で……っ!」


 


──その瞬間。


 


「幸喜、正座。」


 


 


 ***


 


夕方。


縁側に正座させられた俺は、隣に座るヒロインたちとともに“反省会”を開かれていた。


 


静江はひとつずつ指を立てながら言う。


 


「まず、庭にパンツを干すな」

「次に、女たちのパンツを“嗜好別”で並べるな」

「あと、Tバックは明らかに犯罪未遂」


 


「は、はい……」


 


「最後に──祖父を巻き込むな」


 


「すみませんでしたああああああああ!!」


 


 


 ***


 


夜。


母はため息をつきながら、俺に言った。


 


「はぁ……アンタの周り、ほんとに騒がしいわね」


 


「……ごめん」


 


「でも、嫌いじゃないよ。こういう青春ってのも」


 


その言葉が、どこか救いに聞こえた。


 


──だが。


隣の部屋では、妹・幸香が着々と**“パンツ投票ランキング”**を作成していた。


 


「さーて♥ 次は“兄の好み診断・本命パンツ選手権”でもやろっかな~♪」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ