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第51話 『妹、ハーレム構築を容認する──ただし条件付き』

「──というわけで、兄のハーレム構築を、公式に容認します!」


 


その朝。

食卓で味噌汁を啜る俺の前で、

妹・久慈川幸香が、満面の笑みで爆弾を投下した。


 


「おぉい!!!!」


 


俺は思わず立ち上がった。


 


「なんでお前がそんな宣言するんだよ!? ハーレムって何!? 今の会話、他人が聞いたら通報されるぞ!?」


 


幸香は悠然と腕を組み、

どこか神官めいた口調で言い放つ。


 


「久慈川家・妹代表としての見解です。兄はラブコメ作家であり、女性との交流は創作上必要不可欠。よって──」


 


「公平で、平等で、愛情に満ちたハーレムを構築すべき」


 


「誰だよその妹代表!!!!」


 


 


 ***


 


その後、登校中に歩美・舞香・玲奈にも“告知”された結果──


 


昼休み、俺は三方向からの沈黙圧力を受けていた。


 


視線が痛い。


空気が重い。


胃が痛い。


 


「……で、説明してもらおうかしら?」


 


最初に口を開いたのは、歩美だった。


幼なじみの彼女は、笑っている。

笑っているけど、目が一ミリも笑っていない。


 


「妹に“ハーレムOKです♥”って言わせるほど、

何かやましいことがあるってことよね?」


 


「違う違う違う!!!」


 


俺は必死に手を振る。


「俺、知らなかったんだって!あいつが勝手に──!」


 


 


「わたくし、納得いきませんわね」


今度は、舞香が不満げに腕を組む。


 


「妹だからって、恋愛倫理を踏みにじっていいという道理はありません。

ハーレム=好色=社会的爆死ですわ!」


 


「あなた、もっと自覚を持ちなさいませ!」


 


「それ俺に言うの!?!?」


 


 


「……私の方が、先輩のことを一番真剣に考えてます」


静かに、玲奈が言葉を差し込んでくる。


 


「一途で、健気で、表紙にもなったヒロインが──

なぜ“ハーレムの一部”にならなければいけないんでしょうか?」


 


「“私は特別枠”でいいと思うんです。ええ、“一人だけ特別”で」


 


「それハーレムぶっ壊す方向の地雷だよね!?!?」


 


 


 ***


 


放課後。


下駄箱に行くと、そこには例の妹が仁王立ちしていた。


 


「お兄ちゃんっ」


 


「お、おう……」


 


「どうだった? “妹公認ハーレム”の反応」


 


「そりゃ大炎上だったわ!!ていうかなんで勝手にそんなこと宣言したんだよ!」


 


幸香は、ふんっと得意げに鼻を鳴らす。


 


「だって、あのままだと“誰かを選ばなきゃ”って苦しみ続けるじゃん。

だったら──“みんな愛す”って選択肢も、アリでしょ?」


 


「……確かに、選べなくて悩んでたけど」


 


「じゃあさ、選ばない代わりに、“ちゃんと向き合う”って誓ってよ」


 


「全員に、平等に、誠実に──愛しなさい」


 


「それが、妹が兄に出した唯一の条件♥」


 


 


 ***


 


その夜。


俺は机の前で、原稿ファイルを開いた。


 


そこには、書きかけのタイトルがあった。


 


『妹公認ハーレム──合法妹と地雷ヒロインに囲まれて、俺の青春が死ぬ』


 


そうか。


これが俺の次の戦場か。


 


俺は静かに、キーボードを打ち始めた。


 

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