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第49話 『答えじゃなくて、想いを』

雪は、すっかり止んでいた。


神社の山を下りた俺たちは、駅前近くの喫茶店に集まっていた。


 


メンバーは──


・幼なじみ、袋田歩美

・お嬢様イラストレーター、舞香=L=クレストン

・図書委員の後輩、磐城玲奈

・そして、俺の妹であり“問題の発端”である、久慈川幸香


 


一人ひとりが、少し疲れた顔で座っていた。

でも、全員の目が、ちゃんと前を見ていた。


 


 


 ***


 


「……あたし、あのままだったら、多分ほんとに……戻れなかったと思う」


幸香が、ゆっくりと語り出す。


「誰にも届かない“好き”なんて、持ってちゃいけないって、

ずっと、自分に言い聞かせてたから……」


 


「でも、違った」


「誰かを好きになるって、

“叶える”ことじゃなくて、“向き合う”ことなんだって、

やっと分かった気がする」


 


その言葉に、舞香が小さく頷く。


 


「恋は、勝ち負けじゃありませんわ。

誰かに勝つんじゃなく、その人の隣に“居続ける”覚悟が必要なんですの」


 


歩美が、少し照れくさそうに笑う。


「こっちだってね、ずっと“選ばれる”のを待ってたけど……

あんたの妹見てたら、ちょっとだけ、考え直した」


 


「“想ってる”ってだけで、

すごく……強くて、苦しいんだなって」


 


 


 ***


 


俺は、みんなの言葉を黙って聞いていた。


胸の中が、温かいもので満たされていくのを感じた。


それは、きっと“答え”じゃない。


でも、確かに“何かを受け止める”覚悟だった。


 


そのとき、玲奈が口を開いた。


 


「先輩。……私たち、分かってます」


 


「すぐに誰かを選べなんて、無理なことだって。

でも、今日だけは──全部の想いを、まっすぐ見てください」


 


「傷ついても、苦しくてもいい。

その代わり、嘘だけは、つかないでください」


 


 


 ***


 


俺は、立ち上がって、みんなを見渡した。


一人ひとりの顔を、ちゃんと見た。


 


「……ありがとう。みんな」


 


「俺、本当はずっと、

誰かを選ぶのが怖かった。

“選ぶこと=他を捨てること”だって思い込んでた」


 


「でも、今日分かったんだ。

それよりも怖いのは、“向き合わないこと”なんだって」


 


 


──だから。


 


俺は、手を差し出した。


まずは、歩美に。

そして、舞香に。

玲奈に。

幸香に。


 


ひとりずつ、その手を取り、ぎゅっと握った。


 


「俺に“想ってくれてる人”がいるってこと。

その奇跡を、絶対に忘れない。

この気持ちに、ちゃんと応える。

時間がかかっても──向き合い続ける」


 


みんなが、少しずつ笑った。


少し泣いて、でもちゃんと、笑ってくれた。


 


 


 ***


 


帰り道。


駅に向かう途中、隣を歩く幸香が、ぽつりと言った。


 


「……ありがとう。お兄ちゃん」


 


「うん」


 


「でもね。だからって、あたしの“好き”は引っ込めないから」


 


「毎日布団入るし、パンツは集めるし、朝は一緒に起きるし、

合法の妹ルート、推進します♥」


 


「……今の感動返せよ」


 


「えへへ、返しません♪」


 


 


 ***


 


こうして、

俺たちの“答えじゃない青春”がまた始まった。


 


でもそれで、いいんだ。


 


“答え”はまだ先でいい。


ただ、みんなの“想い”を受け止めて、

前に進めばいいんだ。


 

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