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第42話 『ステージ乱入ヒロインズ──私たちが止める!』

──文化祭特設ステージ。

混乱の真っ只中で、俺は完全にフリーズしていた。


隣にはウェディングドレス姿の妹・幸香。

対峙するのは──舞台に乱入してきた3人のヒロインたち。


幼なじみ・袋田歩美。

金髪転校生・舞香・A・C・リーヴス・天城。

図書委員・磐城玲奈。


 


この空間に、逃げ道はない。


そして、次の瞬間──


 


「宣言する!!」


 


真っ先に叫んだのは歩美だった。


 


「私は、久慈川幸喜の“初恋”であり“隣人”であり、“最初の嫁ポジ”だ!!

妹だからって調子乗ってんじゃないわよ、この合法系病みロリがッ!!!」


 


観客「ヒロイン宣言きたあああああああああ!!」


「初恋ポジの逆襲!!」「立ち絵変わった!? ちょっと大人びてない!?」


 


舞香も一歩前に出る。


 


「我が祖国では、婚姻は“意志と実績”によって結ばれます!

我は既に、ご両親への挨拶を済ませ、3度の同衾実績を有する者!

妹よ、国家の重みに勝てるか!?」


 


観客「異国パワーきたああああ!!」「合法ロイヤル勢力!!」


「同衾3回は強い……!」「記録済み!? 監視されてる!?」


 


そして、玲奈。


 


「私は静かに、確実に、先輩との記憶を積み上げてきました。

誰にも見えない“物語の裏”を、私は知っている──

だからこそ言います。“兄妹という言葉”に、愛を偽装しないでください」


 


観客「文学系ヒロイン……説得力がある……」「全員推せる……助けて……」


 


 


 ***


 


だが、妹・幸香は一歩も引かなかった。


 


ステージ脇に置かれていた司会用マイクを、彼女はスッと手に取る。


 


「──ふふ、よく言うよね。

でもね?」


 


「私は、妹だよ?

朝も夜も、同じ屋根の下で、同じ空気を吸ってきた。

“お兄ちゃんのこと、誰より近くで見てきた”のは──私だよ?」


 


「これはね、“正当な権利”なの♥」


 


──観客、どよめき。


だが、妹は止まらない。


 


「それに──証拠も、あるよ?」


 


彼女がバッグから取り出したのは、USBメモリ。


スクリーンに映し出されたのは……


 


・“兄の寝顔コレクション”スライドショー(99枚)

・布団内添い寝映像(モザイク付き)

・手編みパンツ収納棚(整理整頓済)

・兄抱き枕と一緒に眠る妹(自撮り)


 


「このぉぉぉおおおおおおおお!!!!!!!」


俺は地面に崩れ落ちた。


 


観客、爆笑&悲鳴。


 


「これマジでやばいやつだって!!」「倫理崩壊ステージwww」

「文化祭で一番盛り上がってるのコレかよ!!」「いや警察呼べレベル!」


 


 


 ***


 


一方、先生たちは──


 


風紀委員「ステージの使用申請、“演劇形式の青春模擬告白”で通ってたんですが……」


担任「いやまさか“リアル妹プロポーズ劇”だとは……」


教頭「責任、誰が取るんだコレ」


 


一人の教師(国語科)が、うっとりした顔で呟いた。


 


「……これは、もはや“愛の暴走文学”だね。比喩じゃなくて」


 


 


 ***


 


その後、ステージは強制的にカーテンが下ろされ、

“中止”という形で終わりを迎えた。


 


だが、全てを終えた妹・幸香は──


最後にマイクを手にして、こう言い残した。


 


「私は、“好き”で壊れてもいいの。

お兄ちゃんの隣にいるためなら、

倫理でも、理性でも、世界でも──何も惜しくないから♥」


 


ステージ裏で、歩美たちは静かに息を呑んだ。


 


誰も、笑えなかった。


なぜならその言葉が──

“本物”の覚悟で発せられていたから。


 


 


 ***


 


その夜、Twitterのトレンド1位は《#妹プロポーズ》。

TikTokでは「兄妹ステージのラスト5秒」が謎のバズを見せ、

YouTubeには《実況・妹ルートの狂気》なる切り抜きが急上昇していた。


 


だが──これは、まだ“前哨戦”にすぎなかった。

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