第25話 『作画監督が“ブラ派”だった日』
──ラノベ作家として、生きてきた。
ペンを握り、物語を綴り、ヒロインたちを描いてきた。
だが今日、俺は知る。
アニメの作画会議とは──“理性の墓場”であると。
***
場所は某アニメスタジオ・第3会議室。
壁にはヒロインのラフ画とキャラ設定表。
中央のテーブルでは、アニメ監督、プロデューサー、作画監督、担当編集の渋谷──
そして、原作者である俺・久慈川幸喜が座っていた。
「では、次は“胸の揺れ方”と“ブラ有無”に関する仕様確認です」
そう言ったのは、作画監督・多摩川さん。
年齢は40代。
太眉。眼光鋭し。
Tシャツの文字は『命は乳に宿る』。
──最初に感じた印象:やべえ人だ。
「ラノベ原作とはいえ、現実味を重視した揺れを描きたいと考えています。
なので、ノーブラ状態での跳ね方には限界を設ける方向で──」
監督「いや、ここはノーブラでしょ。布団の中のシーンだし」
渋谷「一応、全年齢枠だから揺れすぎないようにって話も……」
多摩川「全年齢だからこそ“ギリ”を攻めるんですよ!!!!」
「ちょ、ちょっと待ってください!? その“ギリ”って何!? どこが基準なんですか!?」
俺の声が会議室に響く。
すると──多摩川さん、神妙な面持ちでラフ画を指差した。
「こちら、歩美ヒロインの“入浴明けパジャマ姿”ですね」
俺「は、はい……」
「Cカップでノーブラ。これはギリ合法です。」
俺「なにその世界の法則ぅぅぅぅぅぅぅ!!!???」
「ちなみに、舞香ヒロインはDカップです。D以上でノーブラ描写を入れると、映倫ラインに抵触する可能性が」
監督「じゃあC以下はノーブラOKってことで?」
多摩川「はい。“合法ノーブラ”はCまでです。我々の間では“Cの壁”と呼ばれています」
俺「そんな壁いらねぇよぉぉぉぉぉ!!!!」
***
そのとき。
バタンと扉が開いた。
会議室に現れたのは──
ヒロイン全員。
歩美、舞香、玲奈、幸香。
全員がスーツでもなければ、関係者パスも持たず、堂々と入室してきた。
歩美「ちょっと、今、何の話してたの!?」
玲奈「“カップ数の合法ライン”……って聞こえましたが」
舞香「私、Dなのにノーブラ禁止なんですの? これは逆差別ではなくて?」
幸香「ねぇ、お兄ちゃん。“実際に触って”サイズ確認してもらったら?♥」
全員「黙れ地雷!!!」
***
地獄のような作画会議は、最終的にこうなった。
・歩美(C)→ ノーブラ揺れ“自然に”、夜の布団シーンのみOK
・舞香(D)→ 揺れ控えめ、スポブラ設定追加
・玲奈(B)→ 基本揺れなし、だが「風の演出」はOK
・幸香(不明)→ キャラ設定上“幼い”ので描写最小限(助かった)
俺「……俺、なんで“ヒロインの乳揺れ”でこんな議論してんの……?」
渋谷がニヤッと笑う。
「夢、叶ったな」
「どんな悪夢だよ!!!」
***
夜、自宅。
俺は布団に寝転がって、天井を見上げた。
(カップ数……合法ライン……風の揺れって何……)
幸香が布団を覗き込む。
「ねぇお兄ちゃん、私も合法ノーブラで出られるのかな?」
「黙れ地雷いいいいい!!!」
──青春とは、
パンツだけでなく、**ブラと乳揺れでも戦うものなのだ。




