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9 剣術を習う



 隠れ家から王城へ戻ってきて、お父さまに剣術の指導をしてほしいと頼んでみたの。


『そう…か。確かに()()()()ためには必要か…』


 お父さまは、考え込んだのち“わかったよ”と優しく微笑んで了承してくれた。

 数日後にその役目をお兄さまが引き受けてくれたようで、剣の持ち方から教えてくれたわ。


 上手く握れないことを馬鹿にせず、私の身体に合っていないのかもしれないとお父さまに相談してくれた。頼りになるお兄さまです。

 そのまた数日後に剣が新しくなりました。お兄さまの言葉に従いながら、剣を振る私は感動。


「お兄さま!これとても軽くて扱いやすいわ!」


「ははっ!それはよかったな。フィーにはレイピアの方がやっぱり良い。グラディウスは、重いし腕っぷしのいいやつが使うように面積もあるからな」


 これまで使っていた剣が身体に合わない話は、お母さまにも伝わっていて、家族で真剣に悩んでくれた。

 お母さまに聞いたのだけれど、レイピアは、前世の記憶…日本と言う国で【フェンシング】という競技で使われていたそうなの。グラディウスは、騎士がよく使っている剣なので私にはこちらの方が馴染みがあったわ。私もグラディウスを使うものだと思っていたけれど、こんなにレイピアが使いやすいのならレイピアで決まりね。私も扱いやすくて楽しいわ。


 また、お母さまからは、日本刀という刀?の方がカッコいいのだとか。剣のことを刀と呼ぶらしい。

絵にかいて教えてもらったのだけれど、私は、刀を扱う殿方の着物という服の方が気になってしまったのよね。


あれってどのように着るのかしら?

お母さまは、着物さえあれば着せられるんですって。着物を着ることを着付けといって、着付け師という職業もあるのだとか。とても興味深いお話を聞いたわ。


『そうね!カメラも欲しいけれど、着物の方が仕立てる自信があるわ!』


とかなんとか言って、瞳をキラキラしていたわ。

きっと近いうちに隠れ家で着ることになりそうだと私は予想している。


そういえば、アルはグラディウスとも違うし、レイピアよりは太かったからまた違う種類の剣を使ってるのね。

剣の種類は、お兄さまの方がよくご存じだから今度聞いてみようかしら。



 * * *



レイピアが使いやすいとわかってから鍛錬を続けること半年。


(とにかく相手の剣を受け流す…っと!)


「っ!!ハッ!!ヤァッ!!」


「そうそう。その調子。フィーは飲み込みが早いな」


「いいえ、お兄さまの教えがお上手なんですわ」


今は、レイピアではなく練習用のフルーレを使っている。

レイピアは両刃なので、練習中にもしものことがあっては、王女という身であるため、問題になってしまう。お父さまもお母さまも”慣れるまでは、フルーレでしっかり学びなさい”とのこと。

 

私も練習早々に怪我をしては、運動能力を疑いたくなるし、自信が急降下するのが目に見えているので言いつけ通りフルーレを使用することにした。


受け流して突くを繰り返し、イメージして練習を重ねた。


「んー、レイピアも良いけど、フィーはダガーみたいな短剣も使えるようになった方がいいかもしれないな…」


「たんけん?ですか?」


「短い剣を短剣と呼んでいるんだ。ちょっと待ってね」


(あぁ短剣ね。短剣ならわたしも知ってるわ。思わず探検を想像してしまったけれど)


少し恥ずかしくて視線を逸らしてしまった。

お兄さまは、手に持っていたフルーレを腰に下げた鞘にしまい、反対に下げたホルスターから短剣を抜いて見せてくれた。


「これは、俺の短剣だ。お父様から譲り受けたもので常に持ち歩いている護身用。持ってみる?」


と、お兄さまが“はい”と手渡してくれた。あれ?思ったよりも軽い?


「お兄さま…こちら思ったよりも軽いですね。そしてとても…きれい…です」


「それは特注品らしい。魔法が付与されていて軽くけれども刃は鋭くなっているらしい。フィー用にも今、レイピアを作らせているって父様が言っていたよ」


「ほへっ!?レイピアをですか?」


「あぁ、なんでも『愛娘にそこらへんのレイピアは持たせられない』とかなんとか言っていたらしい。父様がね」


お兄さま…私にウィンクするのはおやめください。鳥肌が立ちました。ゾワッときました。


「俺的には、フィーは後々短剣に移行して、ドレスの下にでも共だっていればいいと思うぞ。それこそ護身用に」


確かに。よくよく考えてみたら、いちご姫も短剣を持っていたわ。ナイフよりは大きいもので隠しやすいものだったと記憶している。


「お兄さま!いちご姫に出てくるような短剣をお願いできますか?そしてそのご指導もお願いしたいです」


「あはははっ!フィーは本当に“いちご姫”が好きだよね。分かった。父様には俺から交渉しておくよ」


ニカッと気持ちのいい笑顔でそうお兄さまは言ってくれた。

隠れ家で短剣を使ってお料理なんかもお母さまに教えてもらって!

アルと二人で探検しに行く時にも便利になるんじゃないかしら。ふふ。これはまた楽しみだわ!


アルに…剣術ではなく、お料理のための短剣を手に入れたとでも言っておきましょう。

剣術を習い出したなんて言ったら、とっても悲しみそうだものね。そうしましょう。



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