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1 婚約発表は突然に

はじめまして。

この作品にお立ちよりいただきありがとうございます!

本作、処女作となる予定です。(完結目指して頑張ります!)完結できるように頑張りますので、応援していただけたら嬉しいです。


2024.9.4 少し修正しました。

「あぁ、わが娘よ。デビュタントおめでとう。とても似合っている」


「デビュタントおめでとう。フィーちゃん。とても綺麗よ」


 そう祝いの言葉をかけながら、私を迎えてくれた両親。


 私、フィリティ・アンジュールは、アンジュール国第一王女。本日めでたく、デビュタントを迎えた十四歳。


腰まで伸びる蜜色の艶めく髪は、綺麗に編み込まれ、アップスタイルに。母から譲り受けたティアラは、華やかさを纏っている。

この日のために誂えた純白のAラインドレスに身を包み、一歩また一歩とゆっくりと両親の元へ向かう。


 アンジュール国では、十五になる年、冬の二月に貴族令嬢を対象としたデビュタントを開催する。

 会場に入れるのは、デビュタントを迎える娘、その家族と一部の高位貴族のみ。


 王家専用の入り口には、両親と共に兄である第一王子アルバートが待機している。

 お兄様は、立太子を済ませていて、王太子。妹の私からすると王太子だろうとお兄様はお兄様。弱音を聞いたことはないけれど、何かと世話焼きなところが、たまに鬱陶しく思う。


お兄様が私の前に歩み寄り、手を差し出し、エスコートしてくれる。

ここはさすがお兄様だなぁと思う。緊張で硬くなっていた気持ちが少しだけ解けていく。名が呼ばれるまでの間、今日の装いについて言葉を交わす程度には余計な力が抜けたみたい。


「フィー。とても綺麗だよ。とうとう大人の仲間入りか……兄ちゃんはちょっと…寂しいなぁ」


「そんな…寂しいだなんて。ふふっ。まだまだ婚約者もいない私はお兄様と過ごす時間はありましてよ」


 小さく、花が綻ぶような笑みを向ける。

お兄様は、常に微笑みを絶やさない貴公子として有名で、内心を全く悟られないその微笑みは、悪魔の微笑みなんて言われているらしい。一部の高位貴族には、恐れられているって噂が流れるほど。

そんなお兄様は、唯一、妹である私にだけは、敵わない…らしい。超がつく溺愛ぶりだなんて聞くけれど、私からしたら、どこのことを指すのかしらと頭をひねる。




 アルバートは、デビュタント用の真っ白なドレスに身を包んだ妹の可愛らしさに目を細める。祝いの華やかな雰囲気の中、なぜか眉尻をほんのわずかに下げた。

その理由は今日という晴れの日に妹の婚約発表がされる。その話を本人だけが知らない。

なんでも両親がフィリティへのサプライズプレゼントとして用意しているから。


事情を知らないフィリティだけが、デビュタントという人生初めてのお勤めを立派に果たそうと気を張っていて、アルバートが向ける妹への視線がいつもよりも寂しげであったことにこの場の誰も気づかなかった。



 *  *  *



『王太子アルバート様!

 並びに本日デビュタントを迎えられます第一王女フィリティ様 ご入場!!!』


 名が呼ばれ、扉が開き、お兄様と共に歩き出す。

 私は、凛と背筋を伸ばし、顎を引き、前を見据えながら歩く。お兄様が優雅な足取りで席まで導いてくれる。それがなんだか私の対抗心を刺激してくる。


 会場にいた貴族から歓声があがり、一気に会場の温度を上げていく。


 ーー『アルバート様!素敵!!』


 ーー『あの方がフィリティ様!なんとお美しい!!』


 ーー『フィリティ様は、王妃様似ですのね!!』


初お披露目となる私への感想が歓声に紛れて耳に届く。お兄様の様子を伺うと、いつも通りと言った様子で澄ましている。

 ふと何を思ったのか、お兄様は私に視線を向けて、微笑んでくるものだから、私も《何かありましたか?》なんて澄ました顔で返してみた。


 お兄様の微笑みは、公の場ではなかなか見せない柔らかな雑味のない微笑み…らしく、どこかしこで悲鳴にも似た令嬢たちの声が歓声に混ざっている。


(……お兄様、わざとだわ…)


緊張していた私でも、その行動には、呆れてしまう。


『国王陛下!並びに王妃ミシェル様 ご入場!!!』


案内の声に、私は再び気を引きしめて、両親が入ってくる気配を感じながら姿勢を崩さぬように待つ。


 両親の定位置なのかしら?用意されていた玉座に着くと父が手をかざし、静寂を求める。

一瞬で場が静まり、一度ゆっくりと会場を見回した後、口を開いた。


「今日の良き日、デビュタントを迎える娘たちよ。おめでとう。わが娘、フィリティもデビュタントを迎え、父として予も嬉しく思う。本日より公の場の公務を解禁とし、これからフィリティも皆の前に出ることが増えるであろう。温かく見守ってくれ。フィリティからも何か申してみよ」


 お父様にうながされ、私は一歩前に出て、淑女の礼をとる。出来るだけ、優雅で気品ある所作に見えるように努めると、ほぅとため息があちこちから耳に届く。


「お初にお目にかかりますフィリティ・アンジュールでございます。この度は、デビュタントを迎えられます皆様をはじめ、ご家族の皆さま 誠におめでとうございます。本日皆様と共にデビュタントを迎えられましたこと嬉しく思っております。これを機に様々な催事にも参加させていただきます。よろしくお願いいたします」


再び、礼をして前を見据え、微笑む。


 その瞬間、参加者とその家族や招待された高位貴族から わっ!と歓声があがる。一部の男性…いや女性も頬を染めてポケーっとしている姿が視界に入る。うん。これは侍女のエリーが頑張ってくれたお陰だからと、あまり目立つのは嫌なのだけれど、胸を張った。

お父様が手をかざし、歓声が収まっていく。


「ここで、皆にもうひとつ喜ばしき知らせがある。フィリティは、隣国ジョルテクス王国第二王子であるアルドルト・ジョルテクスと婚約とし、十八歳になる三年後に婚儀を行う。両国の絆はより深いものとなる!」


(えっ!?お父様!?今何とっ!??)


 喝采が鳴り止まない中、私だけが表情には出さないものの動揺しまくっていた。先程の微笑みとは裏腹に内心で叫ぶ。


(待って!?待って!??待ってぇえええ!!アルドルト・ジョルテクスって誰ーーー!!!?)







ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

文章力、語彙力のなさにまだ1ページ目だというのに打ちひしがれています。

書いてみて作家さんの凄さを身に染みて感じております。

自身の成長も合わせて見守っていただけると幸いです。

この先も読んでみたいと思っていただけましたら、

《いいね》ボタンや《☆☆☆☆☆》を《★★★★★》のように黒で評価をいただけると作者の励みになります。

どうぞよろしくお願いいたします。

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