これからのこと
洞窟へとルージュが倒した魔物を運ぶと早速調理を開始した
とはいえ牢獄から脱出してそのままのヴァイオレットは当然身に着けている衣服以外何も持ち合わせておらず、出来たのは肉を焼いただけのシンプルなもの
それでも久しぶりにまともな食事にありつけたこともあり、二人は夢中になって肉を頬張りあっという間に平らげてしまった
『はぁ~食べた食べた。久しぶりにお腹いっぱい食べられたよ。獲物とってきてくれてありがとうねルージュ』
『これくらい当然だよ。僕はヴァイオレット様の従魔なんだからね!』
『ねぇ……そのヴァイオレット様っていうのやめない?なんだかこそばゆくて落ち着かないよ』
『でもヴァイオレット様は僕の主なんだし』
『ルージュは従魔じゃなくて私にとって友達みたいなものなんだよね。だからお互い対等な関係を築きたいと思ってるんだ』
『友達……そっか。うん!分かった!』
友達、その言葉を使うとミーシャとのやり取りが思い浮かぶ
あれを思い出すと暗い気持ちになってしまうので、なるべく思い出さないよう今後どうしていくかに頭を使うことにした
『さて、まずはここがどこなのかを調べないとだね。ルージュ、空から周りの様子見てきてくれない?』
『分かったー』
情報を得る為空からの偵察をルージュに任せ、ヴァイオレットも地上から周辺の散策を行うことにした
目覚めた時は一人では外に踏み出すことができなかったが今は何も問題ない
あれはなんだったのかと考えながら小一時間程森の中を彷徨い続けたが、魔物の気配がするだけで人の気配は一つも感じることができなかった
特に収穫もなく洞窟のある場所に戻り待機していると暫くしてルージュが戻ってきた
『おかえり、どうだった?』
『だめー。軽く近くを見て回ってきたけど人がいるような場所は見つからなかったよ。見渡す限りずーっと森』
『そっかぁ……こっちも地上から探したけど何の手がかりも無し。少なくとも王都の近くではないってことだよね。地図もないしほんとここはどこなんだろう……とりあえずこのままここにいても仕方ないし移動するしかないね』
ヴァイオレット達は一先ず人がいる場所を目標に洞窟を離れ移動を開始することに
お尋ね者になった今、気安く人と接触することは避けた方が安全ではあるがせめて現在地の確認程度はしたい
ルージュの背中に乗って移動する方が効率良く移動することができるが治癒されているとはいえ病み上がり、それに人がいた場合足跡等の痕跡を見逃してしまうことを考慮して徒歩で行くことにした
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