誘導
ミーシャと再会し外へと繋がる地下水道に導かれたヴァイオレット
外への道を知らないヴァイオレットはミーシャを信じひたすら進んだ
『ミーシャちゃん、結構歩いたような気がするけどまだ外には出れないのかな?』
『まだよ、出口の川までは距離があるから我慢しなさい』
『うん、それにしても本当に驚いたよ。まさかミーシャちゃんが助けに来てくれるなんて』
『まぁあの学校で一番長く一緒にいたしね』
『あの後学校の方は大丈夫だった?私とよく一緒にいたから変な疑いとか……』
『別に問題はなかったわ』
移動中ヴァイオレットが話振るも最低限の返答で答えてくるミーシャ
こういった状況な為会話が弾まないのも仕方がなくはあるが、ヴァイオレットとしては場を和ませたかったので話題を振り続けた
『そ、そうそう聞いてよ。私王女様を手にかけたってことで死刑されちゃいそうになってさ。こういうのなんて言うんだっけ……あっそう!冤罪!』
『ヴァイオレット静かに』
『えっ?』
ミーシャが手で制してきたので止まって喋るのを止めると、暫くして前方から複数の人の気配と足音が聞こえてきた
こんな時間にこんな場所にいる人物なんて限られている
やり過ごそうとも考えたがここには身を隠すような場所が無い為それも不可能
『まさかこんな所まで張ってたなんて……ミーシャちゃんは逃げて。ここにいたら私のせいで共犯者になっちゃうよ。私なら大丈夫だから』
『心配いらないわ。私が逃げる必要なんてないから』
『どういうこと?』
そうこうしている間にも足音はこちらに近づいてくる
現れたのは想像していた通りやはりヴァイオレットを捕らえに来た兵士
しかもただの兵士ではなくその格好には見覚えがあり、精鋭である魔法騎士団の面々だった
『まずい……ここは私が何とかするからミーシャちゃんは逃げて!』
『だからそんな事する必要ないんだってさっき言ったでしょ』
慌てるヴァイオレットに対し依然として冷静なミーシャ
自分に加担していることが分かったら当然ただで済む筈がない
この場をどう切り抜けようかと考えていると、驚いたことに突然ミーシャが一人前に出始めた
驚いたのはそれだけではなくその行動に相手を迎え討つような意思が感じられず、敵の眼前まで行くとこちらに向き直った
『ミーシャちゃん?どういうこと?』
『この状況を見てまだ分からない?あっさりついて来て誘導するのが楽だったわ』
『え……?何言って……』
『普通に考えたらあの場に都合よく私が現れるわけが無いでしょ。私の誘いにまんまと引っかかるなんて本当にあなたは間抜けね。ヴァイオレット』
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