判決は
『ん……ここは……』
気を失ったヴァイオレットが目を覚ますとまたあの牢屋に戻されていた
尋問を受けてからどれ位の時間が経ったのだろう
周りを見回していると、ヴァイオレットが目を覚ましたっことに気がついた見張り役の兵士が声をかけてきた
『目を覚ましたようだな。お前をここまで運んで来るのに苦労したんだぞ。全く……余計な手間をかけさやがって』
『ねぇ、あれから私どれ位眠っていたの?』
『丸一日ってところか、よく眠ってたぞ』
まさかそんなに眠ってしまっていたとは
ヴァイオレットはあの後どうなったのか兵士に再度尋ねる
『私ってどうなっちゃうの?』
『あぁそれな。あれから議論がされてな、結果お前の死刑が決定した』
『死刑!?』
あまりにも重い判決に対してあっけらかんとした顔でそう告げてきた兵士にヴァイオレットは声を荒げた
それでも兵士は一切表情を変えず続ける
『王女様を殺害したんだ、当然の判決だろう。あれだけ決定的な証拠が残っている以上言い逃れもできないわな』
『ちょっと待ってよ!私は本当に王女様を手にかけたりなんかしてない!』
『往生際が悪いな、既に判決は下ったんだよ。せいぜい残りの時間を大切に使うんだな。ほれ食事だ、これが最後の食事になるだろうからしっかり味わうといい』
『ご飯!!』
何十時間ぶりかの食事、胃は空っぽで喉もカラカラ
話の途中ではあったが限界をとうに越えていたヴァイオレットは一旦話を中断して久しぶりの食事にありついた
パンには少しカビが生えていてスープは完全に冷えきっている上殆ど味がしない。それでも今までこの王都で食べたのどの料理よりも美味しく感じた
これだけの空腹に襲われたのは特訓時代以来で、トレーに乗せてあった料理をあっという間に食べ尽くしてしまった
『ふぅ……ねぇおかわりとかはできないの?』
『できるわけがないだろう図々しい奴め』
できるならばもっと量が欲しかったところだったが、お陰で少しは頭が回るようになった
当初はきちんと説明責任を果たし無罪を証明しようとしていたヴァイオレットだったが、相手は全く話を聞こうとしないし挙句罪を被せられる始末
(こんなところでこんな訳の分からない言いがかりで死ぬなんて御免だよ。こうなったらなんとしてでもここから脱出しなくちゃ!)
しかしそうなるといよいよこの国にいることはできなくなるだろう
この国を離れること自体に未練は全くないがミーシャやシェリア、こんな形となってしまったがエリザ等ここで初めて出来た友達に別れを告げなくてはならないのが辛かった
けれど犯罪者となってしまった自分とこれ以上関わりを持たない方がいいのは言うまでもない
友人と別れる現実に涙を堪えつつ、死刑を言い渡されたヴァイオレットは脱出を決意した
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