本気の殺意
『凄い凄い!ヴァイオレット選手、メアリー選手に対して休まずひたすら攻撃を浴びせていく!』
止まないヴァイオレットの連撃、その攻撃を受け続けるメアリー
蓄積されたダメージを放出しようとするが、それをする隙さえ与えず攻撃を浴びせる
これまでどう相手を攻略するかという考えの元戦っていたヴァイオレットだが、それは本来のスタイルではない
森で魔物と戦っていた時はそんな細かいことを考える暇もなくもっとシンプルで殺るか殺られるかで、とにかく自分に襲いかかってくる目の前の相手を屠るのというのが普通だった
森を出て人と接するようになってからそれは理性で封印されていたが、先程メアリーから食らったダメージがきっかけでその本能が呼び起こされてしまった
『メアリー選手、先程までは攻撃を受けても平然としているようでしたがヴァイオレット選手の怒涛の攻撃を前に徐々に後退していっています!』
実況の声でメアリー自身もそこで自分が無意識に後退していたことに気がつく
それだけではない、メアリーの傷の治りがヴァイオレットの攻撃速度に対して徐々に追いつかなくなっていっていた
『(このまま攻撃を食らってたら本当にまずい……なら)ニトロボム!』
メアリーが苦し紛れに捻り出した魔法は自損覚悟の広範囲爆破
自分自身がそれでダメージを負ったとて、僅かな時間だけでも稼げれば蓄積されたダメージを放出し傷を癒すことができる
『今のうちに……!』
爆発で吹き飛ばされたメアリーは爆風と爆煙を利用してヴァイオレットから距離をとろうとする
だが次の瞬間、煙の中から自分の腕を掴むで手が現れた
それは紛れもなくヴァイオレットの手
普通であれば回避するであろう爆発をヴァイオレットは一歩も後ろに引かず受け、そのままメアリーがいる場所を特定してきた
『ひっ……!』
これまで痛みを感じることを楽しんできたメアリーだったが、それはダメージを食らっても生死の危険を感じてこなかったから
しかしヴァイオレットから全身に刺さるような本気の殺意を真正面から受けたことでメアリーは初めて恐怖というものを感じた
『こ、降さ……!』
報復を使用しようとすればできただろう
だがメアリーは戦うことを本能で拒んだ
降参を告げようとするがそれよりも僅かに早くヴァイオレットの拳がクリーンヒット
そのまま地面に強く叩きつけられたメアリーは気絶しピクリとも動かなくなった
『あっ、ごめん。ちょっとやりすぎちゃった』
『勝者ヴァイオレット・カラミティア!』
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