トーナメント
魔闘大会で上級生と戦うことを決めたヴァイオレット
無制限枠に参加するには職員室で申請書を書かなくてはいけないのでケーニッヒに申請書を貰いにいった
『ヴァイオレット、本当に上級生達と戦うのか?』
『うん、そっちの方が面白そうだし楽しめそうかなって』
『まぁ団長とあれだけ戦えてたし元々お前には打診しようと思ってたから手間が省けたからいいんだがな。上級生とも十分渡り合えるだろうがくれぐれも無茶はするなよ』
『大丈夫だって。じゃあこれお願いね』
申請書を書き終え教室に戻ってくると、教室の中はいつもとは異なる空気が流れていた
トーナメント表次第ではここにいる誰かと大会で当たる可能性があるということなので、全員がピリピリしていた
『あっ……ヴァイオレットさん……申請書……出してきたんですか?』
『うん、それにしても皆凄い気迫だねぇ』
『皆さん……自分の目標の為に……この学校に……来てますからね』
『シェリアちゃんも何か目標があるの?』
『わ、私の家は……貧しい家庭なので……少しでも楽になれるよう……お給料のいい仕事に就ければなと……大した理由じゃないんですが』
『そんなことないよ。凄いなー、皆何かしら目標があってそれに向かって頑張ってるんだもんなぁ』
ヴァイオレットはこの学校で友達を作るという目標を早々に達成してしまった
新たな目標を見つけた方がいいとは思ってはいるものの、中々その意欲は湧いてこなかった
まぁそんなことはなるようになるだろうと未来の自分に委ねることにしておいて、今は大会の方に集中することに気持ちを切り替えた
そしてその二週間後、ヴァイオレットはミーシャに呼ばれ廊下にやってくる
『ヴァイオレット、トーナメント表が発表されたわよ』
『待ってましたー!といっても私上級生の人達ってたまに顔を見るだけで全然話したことないから知らないんだよねぇ』
『あなたが初戦で当たるのはグレゴリオ。一学年上の人が相手みたいね』
『うん、やっぱり全然知らない人だ。強いのかな?』
『お前が俺の初戦の相手か』
背後から声が聞こえてきて振り返るとそこには強面の男が立っていた
この学校では学年を見分ける為に男性はネクタイ、女性はリボンの色が学年ごとに異なる
その者のネクタイの色は青、ヴァイオレットより一学年上の生徒だ
『あなたがグレゴリオさん?一回戦よろしくね』
『最近威勢のいい新入生がいるっていう話を聞いていたがもしかしてお前のことか?もっと骨のありそうな奴を期待してたんだが拍子抜けだぜ』
『確かに。上級生っていうからもっと強そうな人を期待してたんだけどね。一学年位じゃそうでもないのかな?』
『言うじゃねぇか……大会当日を楽しみにしてるぜ』
そう言うとグレゴリオは去っていった
大会まで残り二週間、それまでの間全員が自己の実力の底上げを計り大会当日に備えた
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