王女と散策
ヴァイオレット達のメンバーにエリザとアレクが加わり、皆で町の散策を行った
自分達の行いが招いた結果とはいえこんな状況になってしまったことにヴァイオレット以外全員困惑していた
『どうして急に誘ってきたりしたんだろう……私達同じクラスっていうだけでそんな面識あるわけじゃないのに』
『ほらあれじゃない?王女様達はオーラがあるから二人でも歩いててもバレるかもしれないけど私達と歩いていたら安心っていう。木を隠すなら森の中ってやつよ』
ミーシャ達がコソコソと話している中、ヴァイオレットは歩く速度を落として後方にいるエリザの元へと歩み寄る
『エリーちゃん、いつもの服も似合ってるけど今日のも可愛いね』
『ちょっと、王女様相手に……まぁいつものことか』
『ありがとうございますヴァイオレットさん。皆さんも今日だけは友人のように接してもらって構いませんので』
『そ、そうですか?え~っと王女……エリーさん達はこんなところで何をしていたんですか?』
『私達はこの国に住んでいる人達の声を直接聞いていたんです』
『声……ですか?』
『はい、例えばあそこのお肉屋さんは最近仕入れ先である町の牧場に魔物が現れ家畜が襲われてしまった為値上げを余儀なくされたとかあちらの果物屋さんは親戚の村の近隣に賊の拠点が作られてしまい不安がっていたりと、他にも様々ですが色々聞かせてもらいました』
『王女様がわざわざ町に出向いてそんな事を……?その程度のことはてっきり下の者達の判断で処理させているのかと』
『その考え方で概ね合っていますよ。私自身は話を聞いて問題がありそうなことは報告して兵士の皆さんに対応してもらっているだけですから。それでもやっぱり国民がどんな事で悩んでいるのか生の声を聞きたいと思いまして』
『へぇ~……なんというか凄いですね』
上にいる者は下の者の苦悩など興味もないだろうと思っていた
現に大多数の貴族達はそういう考えだろう
だが目の前にいる王女は少なくともその枠には当てはまらないとミーシャ達考えを少し改めた
『あのルナさん』
『あ、はい。なんですかアレクさん?』
『今はアレンですよ。それより皆さんはこれからどこに行かれる予定だったんでしょうか』
『あぁ、私達はこれから昼食にしようとしていたところだったんです』
『そうでしたか、私達も昼食にしようと思っていたのでちょうどよかったですね。せっかくですからお店はお任せてしていいですか』
『は、はい。ご期待に沿えるか分かりませんが私達のお気に入りの店へ案内しますね』
『それは楽しみです』
エリザ達と昼食を共にした後も町の散策は続いた
今回の事がきっかけで始めはぎこちなかったミーシャ達も少しだがエリザと親睦を深めることができた
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