相性
生徒達全員の相手が決まっていくと順番に試験が行われていった
しかし相手は魔法騎士団の精鋭、当然対等に渡り合えるものは少なく皆自分の持てる力を出し切って戦いを繰り広げたが悉く敗北した
『中々勝つ人が現れないねぇ』
『多分だけど先生がわざわざ生徒達を割り振ったのには理由があって団員との相性とかで選んでるんじゃないかしら』
『相性?』
『ほら、今やってる試合。生徒側の方は防御が得意みたいだけどそれに対して団員の方はその防御を破る魔法を使えるみたいね。あんな感じで生徒の天敵となる相手を先生が選んでるようね。この前来た時に調べ上げられたのかも』
『じゃあこっちに勝ち目はないってこと?』
『苦手な相手に対してどこまでやれるかというのも見てるかもね。まぁ必ずしも勝てないというわけではなさそうだけど』
『そこまで!』
ケーニッヒの声と共に歓声が上がりそちらを様子を見てみると、そこには団員を倒したエリザの姿があった
『あっ、エリザちゃんは勝ったみたい』
『王女様の魔法は苦手なものとかなさそうだものね。っとそろそろ私の番みたい、私の相手は凄い厳つい人だけどやれるだけやってみるわ。まぁヴァイオレットの相手よりはずっとマシだけどね』
『頑張ってミーシャちゃん!』
ミーシャを見送った後はヴァイオレットも準備に入る
相手はこの国の精鋭を束ねる団長、相手がどんな魔法を使ってくるのか分からない以上油断していたら負ける可能性も十分考えられるだろう
集中力を高めながらミュゼルとの戦いを今か今かと待っていると、ケーニッヒに名前を呼ばれる
『次ヴァイオレット、前に出ろ』
『はーい』
『ピューイ』
『大丈夫だよ、久しぶりに思い切り戦えそうで楽しみにしてるんだ。ルージュはここで見守っててね』
開始位置に向かう途中ミーシャの方の様子を見てみたが、攻撃を浴びせ続けるミーシャに対し相手は鉄壁の守りでそれを防ぎ続けていた
接近を生業とするミーシャは俊敏性こそあるものの一発あたりの攻撃が軽い
それを見越しての人選ということなのだろう
順番が被らなければ応援したいところだったが、今は目の前の相手に集中するのみだ
『よろしくね団長さん』
『お主の実力は他の者から聞いておるぞ、あのドラゴンといいきっとかなりの実力なんじゃろう。今から相手をするのが楽しみじゃよ』
『私もだよ』
『じゃが妾も曲がりなりにも騎士団の団長を務める身、どんなに優秀であろうと生徒相手に負けるわけにはいかないのでな。本気でいかせてもらうぞ』
『そうだね、やっぱり戦うなら本気でやらないと面白くないよね』
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