二回目の試験
王都の外で思う存分遊ばせたことでルージュの溜まっていたものが発散できたのか、以前よりも大分大人しくなってくれた
これからも定期的に外に出てはルージュの遊びに付き添ってあげた方がよさそうだ
だが今はそれよりも気にしなくてはならないことがある
それは今日これから控えてる試験についてだ
『はぁ……遂にこの日がまたやってきちゃったね』
『前回はなぁなぁになっちゃったからね、やるだけのことはやったつもりだからあとはなるようになるだけだわ。あなたも私が付きっきりで勉強見てあげたんだから酷い点数は取らないでよね』
『うん、頑張るよ。でもこの試験が終わったらミーシャちゃんとは別の部屋になっちゃうかもしれないのかぁ。寂しいなぁ』
『別に部屋が一緒じゃなくても毎日嫌という程顔を合わせてるでしょ。そんな心配よりもヴァイオレットは最下位にならないことね。最下位になったら今度こそ追い出されるわよ』
『そういえばそんな決まりあったねぇ。頑張らないと!』
ヴァイオレットは自分の頬を叩き自身に喝を入れる
その後筆記試験が行われたが、ミーシャと日頃から勉強していたお陰か前回よりもいい点数を叩き出せたような気がした
実際は半分いくかどうかの点数だろうが、それでもヴァイオレットにとっては上出来ともいえる結果だった
『次は実技だね、今回も前と同じように迷宮に行くのかなぁ』
『前の事があってからまだ一月しか経ってないんだからそれはないでしょう』
『待たせたなお前達』
実技試験の内容発表を待っていたヴァイオレット達の前にケーニッヒがやってくる
『えー実技試験の内容だが今回は対人戦だ』
『入学試験の時みたいな感じかな?』
『あれよりもっと実戦的なやつじゃないかしら』
『今日の対人戦の為に来てもらった方々だ。まぁ一度面識はある相手だがな』
ケーニッヒの言葉と同時に現れたのは前回来た魔法騎士団の面々だった
そしてそこには団長であるミュゼルの姿もある
『マジかよ、ミュゼル団長と当たる可能性があるってことかよ。完全にハズレ枠だな』
『いや他の団員も十分精鋭だぞ。端から勝たせるつもりはないってことか……』
口々にそう呟く生徒達を横目にケーニッヒは続ける
『今から名前を呼ばれた者は俺が決めた団員と戦ってもらう。今自分が出せる全力を相手にぶつけるんだ』
それからケーニッヒは生徒達に担当する者を次々と言い渡していく
ヴァイオレットは自分の相手が誰になるのかと楽しみにしながらその時を待った
『次、ヴァイオレット』
『はーい、私の相手は誰かなぁ』
『お前の相手をしてくれるのは……』
『妾じゃ、よろしく頼むの』
『私の相手は団長さんか、楽しみだなぁ』
周りからしたらハズレくじを引いたように思われているのだろうが、ヴァイオレットからしたらその逆
団長という位だから当然この中できっと一番強いのだろう
ここ最近戦闘で思い切り戦うということができていなかったし、この相手なら久しぶりに思う存分力を発揮できるかもしれないと高揚し始めていた
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