発散
ミュゼル同行の元、ヴァイオレットとルージュは外出許可を得ることができたので早速出かけることに
他の人にルージュの姿を見られでもしたら大騒ぎになることは決まっているので、王都にいる間はルージュの存在がバレないよう鞄の中に隠しできるだけ王都から離れた場所まで移動
王都の外に出て人目がつかないような場所までやってきてようやくルージュを外に出すことができた
『さぁルージュ、ここなら気にせず飛び回ることができるよ』
『ピュイ?』
ルージュは一度辺りを見渡し安全なことを確認してから鞄から出る
普段と違う場所だと分かるとヴァイオレットの言葉に従い大喜びで大空を飛び回り始めた
『ピューイ!ピューイ!』
『おぉ凄い飛びっぷり、楽しそうでよかったぁ』
『生まれて間もないドラゴンだというのに飛び方を教わらずともあれだけ自由に飛ぶことが出来るのか。流石生物の頂点に立つ存在だな』
忙しい中時間を作って外に出てきた甲斐はあったようだ
しかしその時間を邪魔してくる存在が現れた
ルージュが気持ちよさそうに飛び回っているところにやって来たのは魔物、オークだった
『あっ!あんなところに魔物がいる』
『オークか、人が通るような主要な道の辺りは管理されていて魔物の心配はないがここら辺は滅多に人が来ない場所だからな。まぁあの程度の魔物なら妾がすぐに処理してやろう』
ミュゼルがこちらに近づいてくるオークを倒す為行動を起こそうとする
しかしそれよりも先にルージュが先に仕掛けた
『ピュイ!』
『あっ、ルージュがいった』
『ほぉ、お手並み拝見といこうじゃないか』
生まれて間もなくずっと王都にいたルージュは当たり前だが魔物と戦うのはこれが初めて
一体どんな戦闘を見せてくれるのかと見守っていると、
ルージュは凄まじい速度で向かっていきその速度のままオークの土手っ腹に風穴を開けた
『ブモォ……!』
苦悶の表情を浮かべるが一発では倒れないオーク
そこへルージュが加えて二撃、三撃と同じように攻撃を浴びせる
体に三つの風穴を開けられたオークは流石に耐えられることが出来ず、その場に倒れ伏す
『おーやったねルージュ、楽しかった?』
『ピュイ!』
『おぉ、今のは流星か!ドラゴンが使うという技の一つじゃな。間近で見れるとはツイておるのぉ』
興奮するミュゼルを横目にヴァイオレットはオークに近づいていく
『ルージュのお陰で食料確保だねー。今解体するからお昼はこれを焼いて食べよっか』
『ピューイ!』
『えっ、ドラゴンの方は分かるんだがまさかお主もオークを食うのか……?』
『うん、オークの肉は脂が乗ってて美味しいよ。食べたことない?』
『王都は食べ物が豊富だから魔物を食す機会なんてないからな……これを食すのか……』
魔物肉を食べたことがないというミュゼルにヴァイオレットはオーク肉を焼いて差し出した
『ハイ、美味しいから食べてみて』
『あれの肉かと思うと躊躇いがあるが……何事も経験か。あぐっ!……う、美味い!』
『でしょお?私も久しぶりに食べるから一杯食べよっと』
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