エリザとの手合わせ
ミーシャの魔力が回復したら模擬戦を再開、そしてまた切れたら休憩の繰り返しを行うのがいつもの流れ
これを大体四、五回繰り返して終わりにする
『今日はこれ位にしておこうか』
『結局今日も一本も取れなかったわ』
『でも最初の頃に比べたら動きは良くなった気がするよ。ミーシャちゃんは霧の魔法と身体能力を組み合わせた近接格闘でガンガン攻めてって相手のペースに持ち込ませない戦い方の方が合ってそうだね』
『その為にはもっと魔力の扱い方を練習しないとだけどね』
二人で話しながら訓練施設を出て部屋へ戻ろうとすると、ちょうど入れ違いで出入口の扉が開いた
そこにいたのはエリザとアレク。極力学内ではボロを出さないよう関わらないつもりでいたが、ここでスルーすると今までの態度と明らかに異なってしまう為ヴァイオレットはあくまで普段通りに声をかけた
『へ、へーい。エリ……王女様、今日も可愛いねー』
『ちょっ、あなた王女様に向かって失礼過ぎでしょ!』
『あれ?いつも私こんな感じじゃなかったっけ?』
『凄いチャラチャラしてたわよ……全く。それにしても王女様がここに来るなんて珍しいですね。普段寮にいる時登校と帰宅時以外部屋から出てくるところを見たことがなかったですし』
学年首席であるエリザの部屋は完全個室になっており、部屋にバスルームや簡易的なトレーニングルームまで備わっている
食事も頼めば運んできてくれるので、寮にいる時は基本部屋から出てくることがなかった
『ちょっと体を動かしたいと思いまして。お城にいる間鈍ってしまった感覚を取り戻さなくてはいけませんから』
『私はそのお相手ということです』
『なるほど、では私達はお邪魔にならないよう失礼させて頂きます』
あまりジロジロと見ていても邪魔になるかと思い挨拶だけして足早にその場をあとにしようとする
しかしエリザがそれを止めてきた
『ヴァイオレットさん、よければ私と一手手合わせをお願いできませんか?』
『えっ?私と?』
『先日の一件を間近で見て是非一度手合わせをと思っていたんです』
『で、でもぉ……』
エリザの申し出にどう返答すべきか困りアレクの方を見るが、我関せずといった感じでヴァイオレットに判断を委ねていた
単純に練習相手として付き合うくらいなら怪しまれることはないかと考えたヴァイオレットは、エリザの手合わせをすることにした
『分かったよ、私でよければ相手になるよ』
『お願いします。では準備しますので少しお待ち下さい』
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